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2010年1月5日 子の泊山(熊野)

 

子の泊山(熊野)2010年1月5日 No.525 隊長
〜子の年には賑わったようだが〜
桐原登山口(9:00)〜(10:16)子の泊山(10:52)〜(11:16)浅里辻、ヤケ(11:28)〜尾根登山口(12:05) コース
三重県の山、最南端は子の泊山を取り上げている。子の年にはよく登られたようで、以前に比べると登山口周辺はよく整備され、山頂も賑やかになっている。登山口は主に浅里、桐原、下和気(しもわけ)がある。このうち、最近よく登られているのが桐原からのようなので、登山口には立派なコース図も設置されていた。

プロローグ 三重県と和歌山県の境界は、熊野川によって分けられている。上流には景勝地として名が知られている瀞峡がある。子の泊山は三重県最南端の熊野川左岸にそびえる900m峰だ。この山塊を蔵光山(ぞうこうざん)といい、子の泊山はこの山塊の主峰につけられた山名だ。取材のために過去に2度登っているがいずれも、浅里登山口から入っていた。そこで今回は、桐原から登ることにした。桐原からはいくつかルートがあるようだが、登路としては中腹にある桐原登山口を利用してみた。登山口には立派なコース図や登山届けを出すポスト、駐車場(10台程度)が完備されている。以前にはなかったので、子の年にあわせて整備されたのだろう。また、昨年も遭難事故があったようだが、事故に対する行政の対策の意味もあるだろう。「子ノ泊山事故防止連絡会議」が2009年に作成して登山地図がある。紀宝町HPから入手できる。余談だが、荷手野峠からのルートでは、いくつかの塚があるよだ。塚は今回のルート上では、山頂から浅里辻の間に「七十五人塚」と呼ばれるものがある。どうやら源平の頃、義経の郎党の戦いに関わるものらしい。これはネットで調べた情報で、確かな資料に基づくものではない。しかし、紀宝町内には、「弁慶産屋の楠跡」なるものがあり、現実味がありそうだ。

  
案内板が多く賑やかな桐原登山口、10台くらい駐車可

桐原登山口 話しはそれたが、本日のルートは中腹にある桐原登山口から入り、尾根の登山口に降りる予定だ。その間の林道桐原浅里線で結ぶことになる。林道歩きの距離は約2キロだ。桐原登山口はもう一カ所あり、猪渡谷(いとわたに)から登りこのコースに合流する。それから、塚が多くある荷手野峠(にてのとうげ)からの尾根コースだ。
 登山口を入るなり、急登が始まる。鬱蒼として照葉樹林の山腹を、ジグザグをきりながら標高差250mほど登ると尾根に出る。杉の植林帯はよく手入れされていて比較的明るい。尾根に上がると、国土地理院の地形図に記された波線ルートと合するはずだが、案内はなかった。しかし踏み後ははっきりとしていた。

  
左:イイギリ              右:杉林

 イイギリの赤い実がよく目立つ。鈴鹿ではあまり見かけないが、尾鷲や熊野の山間部ではこの季節、よく見かける樹木だ。それほど多くはないが、紅葉の終わったこの季節、真っ赤な小粒の実がブドウのように垂れ下が垂れ下がっているのでよく目立つ。

  
尾根筋はカシ林となる 右:アカガシ

常緑樹林 ガレた尾根は植林が及ばず、アカガシ、ソヨゴ、カゴノキ、ヤブツバキ、モミ、アカマツなどの常緑樹に混じって、ヤマザクラ、イヌシデ、コブシなどの落葉樹が混生している。いずれも高さのある樹木が多いので、少し薄暗いが、雰囲気がよく歩きやすい。この尾根は山頂まで続く。途中に小谷があり、水が得られる。

  
ソヨゴ?                    アカガシ

  
コブシ?                     イヌシデ     

  
モミ                      アカガシ

  
ヤマザクラ                  カゴノキ  

子ノ泊山 水場を過ぎると程なくして山頂(906.7m)に到着した。山頂は、子の年の登山で設置された看板などで賑やかになっている。周囲の樹木が切り払われて展望が確保されているのはありがたい。平日なので誰も居ず、山頂を独り占めだ。石に腰を下ろし、しばらくの間、展望を楽しんだ。なんといっても、七里御浜と熊野灘のダイナミックな展望は、他では見られないオンリーワンの風景だ。北側を見ると、一族山、大瀬山など、熊野の主要山岳が一望できる。ただ、南側に目をやると、山頂直下まで公団作業道が通じていて、少し興ざめしてしまう。


子 の泊山山頂


山頂から見る海岸線と熊野灘

  
左:左奥が一族山、その向かいが大瀬山      右:子の泊山の山頂

尾根コース 少し時間は早いが、山麓の取材も予定しているので、簡単に食事を済ませ、11時前に山頂を後にした。帰路は浅里辻まで稜線を歩き、そこから尾根登山口に降りることにした。ただし、このコースは、途中で伐採作業(3月末まで)が行われているので注意が必要だ。この日は作業が休みの日だった。なお、ここから西谷で浅里登山口に降りることもできるが、単独の場合は車の回収にかなりの時間が必要になってくる。

  
七十五人塚             浅里辻

慰霊塚 浅里辻までの間に、七十五人塚がある。これは、頼朝の軍勢と戦った熊野関係の義経郎党が葬られている慰霊塚らしい。先にも書いたが確かな資料に基づくものではない。塚から少し進むと「浅里辻」の分岐に到着する。熊野川を俯瞰したかったので、ヤケに立つ寄ることにした。両側が切り立った痩せ尾根で高度感のある場所だ。ウバメガシやアセビが岩場にへばりついて生えている。


ヤケ狽ゥら見た山頂へと続く尾根

  
熊野川                熊野灘

  
炭焼き釜跡                     伐採された樹齢48年の杉

浅里辻に戻り、尾根コースで下山した。所要時間は30分ほどで、最短で浅里桐原林道まで降りることができる。車の回収に2キロほど歩いて出発点に戻った。

 

  
桐原尾根コース登山口               熊野酸性火成岩類を構成する花崗斑岩

   
イイギリ

  
イイギリの樹皮                  イイギリ、一カ所から放射状に出る

  

  
桐原 尾根登山口


切り通しで見られる柱状節理

熊野酸性火成岩類は、火山活動(1400万年前)により熊野層群を貫いて出てきた火成岩(花崗斑岩)で、尾鷲市から熊野にかけて広がっている。熊野市二木島にある景勝地「楯ケ崎」で見られる柱状節理にその特徴的な地質を見ることができる。子の泊山でも切り通しなどでこの特徴的な地形が見られる。

  
左:子鹿谷林道登山口              右:飛雪の滝


浅里から見る子の泊山


七里御浜と座礁し横倒しになったフェりー

 

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