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大蛇峰・烏帽子岩(熊野の山)2009年12月26日 No.522 うさぎ、隊長
〜七里御浜を見下ろす展望岩へ〜
佐田坂舟石バス停前駐車場(10:11)〜烏帽子岩分岐(10:15)〜ルート検証40分ロス〜(11:50)大蛇峰山頂687.1m(12:00)〜コル(12:38)〜(12:50)烏帽子岩541m(13:27)〜コル(13:34)〜分岐(14:06)〜駐車場(14:23) コース

アプローチ 今回は、熊野の大蛇峰と烏帽子岩に登った。烏帽子岩からは展望が優れ、地元の人を中心によく登られている山だ。毎日通勤で行きと帰りに登山口の前を通っていて、以前から気になっていた山だった。年間を通じて積雪を見ることはほとんどなく、冬でも普段の装備で登ることができる山でもある。それにアプローチが大変よい。佐田坂の途中にある舟石バス停付近には駐車場がり、バスでもマイカーでもアプローチができる。

 
佐田坂舟石バス停              登山口

大蛇峰へ 登山口は駐車場から100mほど降った、国道42号線が大きくカーブする所にある。登山口には、すでに朽ちかけているが、地元の有志による看板が設置されている。熊野古道、七里御浜、鬼ヶ城、熊野の花火、楯が崎など、観光名所はたくさんあり、最近では座礁フェリーが有名になっている。環境協会としては、登山対象の山などは眼中にないだろう。登山口からコンクリートのスロープを登っていくと、鬱蒼とした植林帯に入るがすぐに、谷筋のコースとなり、瀬音を聞きながら右岸を5分ほど歩く。ナメ滝を炭焼き釜跡を過ぎると、烏帽子岩分岐に出る。右の谷を行くと烏帽子岩北のコルへ、左の尾根を登ると大蛇峰へ行く。


手入れが行き届いた植林帯

小ピーク付近 今回はまず先に、大蛇峰に登ることにした。分岐点からの標高差は約400mあり、山頂手前に稜線に出るまでは尾根の急登りが続く。途中の小ピークを過ぎたあたりで、谷を行くコースもあるようだが、こちらは目印が途中で消えていた。尾根コースの方はよく歩かれているようで、目印もしっかりとしていた。最初は谷コースを歩き途中で尾根コースに合流した。トレースのためにもう一度、小ピーク手前まで下りて尾根を登り返した。そのためにここで40分タイムロスがあった。

 
ナメ滝          炭焼き釜跡

   
大蛇峰分岐

イマメノキ 山頂へは尾根を忠実にたどっていく。途中、稜線の近くで2カ所、岩の斜面があり、展望が開けている。このあたり倒木やらで通りにくかったので、ノコギリを使って整備しておいた。高度を上げてもなお、常緑樹林は続き、三重県北部の植生とは明らかに違う。ウバメガシ、アカガシ、カゴノキなどが目についた。カゴノキは実に特徴的な樹皮をしている。シカの子供のまだら模様のようであるから、「鹿子の木」の和名はうなずける。うさぎが「イマメノキ」があるとさかんに言っている、そのときはウバメガシに似ているなと思っていた。家で図鑑で調べるとウバメガシの別名が「イマメガシ」だった。

  
ウバメガシ            カゴノキ


稜線手前の露岩

大蛇峰 少し傾斜が緩むと稜線に出た。二次林を想定したが意に反して植林帯だった。山頂は北西に200mほど進んだところだ。南面が切り開かれていて、熊野の名勝、七里御浜が一望できる。御浜の海岸に乗り上げてきたフェリーもよく見えている。毎朝、釣りをしているのはどのあたりだろうか。今年はハマチがよく釣れるので、今朝はどうだったか気になりだした。海に居れば山が気になり、山に居れば海が気になる。人のあくなき欲望は振り払うにはどうしたらいいのだろう。役行者のように奥崖道を歩くか。

  
大蛇峰山頂         大蛇峰から見下ろす飛鳥町

飛鳥町 山頂からは山間部にある飛鳥の町並みが見えていた。このあたりは生活の場なので、あそこが沢渡(さわたり)でその向こうが野口だなど、手に取るようにわかる。二年も住んでいるが町を俯瞰するのはこれが初めてだ。いつでも登れると思っているうちに2年も経ってしまった。過疎化、少子化は深刻な問題だが、いい所だと思う。時計を見るとちょうど12時だ。いつも昼になるスピーカーから流れる、熊野市広報が山の上まで聞こえてくる。最初に来たときは何事が始まったかと思ったが今では、これを聞かないと昼にならない。今日は朝が遅かったのでまだお腹がすかない。昼は、烏帽子岩でとることにした。


尾根の苔むした石

 烏帽子岩は大蛇峰山頂から稜線を50分ほど降った所だ。切り立った痩せ尾根の部分が多く、苔むした岩が印象的だった。小ピークを西側から巻くとコルに下りる。通称「フカギリのコル」と呼ばれるようで、登山口への分岐点になっている。確かに、天気に良い冷え込んだ日には、風伝峠のように朝霧が発生することがよくある。これは勝手な推測なので、今度地元に人に聞いておくことにしよう。

  
アカガシ             コルの捕獲檻

  
コル            尾根の大岩

烏帽子岩 コルを過ぎると大きな岩が行く手を阻んでいる。これを西から巻いて、10分ほど進むと烏帽子岩541mに到着する。ハシゴで岩の上に登ると、絶景が広がる。北には新鹿の町が、南には七里御浜が一望できる。風もなく穏やかな日和だ。朝、日の出の時にここに立ってみたいと思った。


新鹿(あたしか)の町と海岸

  
烏帽子岩にて


烏帽子岩から見る大蛇峰687.1m


七里御浜

大トチ 帰路はまずコルまで戻り、それから、谷筋を分岐点まで下りていく。コルから少しの間は倒木が多く、目印も不明瞭で歩きにくい。分岐点までの中間地点に廃屋がある。少し行くと今度は、大きな栃の木がある。すごく大きいので必ず目にとまるだろう。これを過ぎ、長いナメを左に見ながらさらに谷を降っていくと分岐に出た。後は来た道を戻ればいい。

  
廃屋            イズセンリョウ


トチの巨木

  
イヌマキ              ナメ滝

 帰りは尾鷲の熊野古道センターに立ち寄り、近くの海洋深層水のお風呂で汗を流した。煙突の向こうには便石山が、その向こうには数日前に登ったマブシ嶺が見えていた。 完

  
熊野古道センター      便石山と背景に見えるピークはマブシ嶺


古道センターから見る天狗倉山と便石山

 

2009年12月26日 Copyright (C) 2009 k.kanamaru. All Rights Reserved.  home