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銚子ガ峰、一の峰、二の峰(両白山地)2009年6月14日 No.496 隊長
〜展望はすぐれなかったが、花は申し分なし〜
花を求めて北へ向かった。以前から何度も計画には上がっていたが、なかなか行く機会がなかった山域だ。白山の花はまだ少し早いので、ならばその周辺の山ということで、白山禅定道を石徹白(いとしろ)登山口から三の峰の手前まで往復した。数年前の能郷白山もそうだったが、この季節は顔にまとわりつく虫に閉口したことを思い出す。さて今回は、やはり無視できなかった。しかし、花は期待通りだった。
石徹白登山口(5:20)〜石徹白の大杉(5:33)〜おたけり坂(6:26)〜P1512(6:40)〜避難小屋(7:00)〜母御石(7:35)〜(7:53)銚子ガ峰1810.4m(7:59)〜一の峰1839m(8:57)〜二の峰1962.3m(9:30)〜(9:35)水呑釈迦堂跡(9:51)〜二の峰(9:57)〜一の峰(10:22)〜(11:10)銚子ガ峰(11:23)〜母御石(11:32)〜避難小屋(11:54)〜石徹白登山口(13:00) 15km、+1400m カメラα900  本日のコース


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アプローチ 夏場の登山は、早朝の涼しいうちからの行動が有利だ。5時過ぎから登り始めたいので、前夜車泊にすることにした。21時過ぎに鈴鹿の自宅を出て、白鳥に道の駅に23時過ぎに到着した。慣れない深夜の林道を走るのは、落石や動物の飛び出しがあるので避けることにし、道の駅をねぐらとした。深夜、車の出入りも少なく静かで、目が覚めると4時半になっていた。ここから登山口まではまだ、約30キロほどある。白鳥ICから国道を156号線を北上し県道へ分岐、白鳥高原に上がりその後、石徹白川にそって登山口を目指した。県道終点の白山中居神社からは6キロほど林道が続いている。所々、路肩に落石が見られるが、比較的よく整備された林道だ。


石徹白道登山口

登山口 登山口の前が駐車場になっていて、簡単な東屋風の休憩所がある。駐車場は20台ほどのスペースがあり、この日は早朝であることもあり、両端に2台が駐まっていただけだった。道の駅から40分ほどかかったので、時間は既に5時半に近かった。あまり遅くなると前夜泊の甲斐がなくなる。急いで準備をして登山口になった。白山への主要な登山口とあって、「白山・美濃禅定道」と書かれた立派な木製の道標が設けられている。白山まで全長19キロの行程のようだ。

 
案内板と駐車場

石徹白の大杉 登山口から大杉までは石の階段が続いている。石徹白の大杉は観光名所のようなので、一般観光客への配慮だろう。この階段を10分ほど上ると石徹白の大杉にでる。昔は神社があったようで、ちょとした広場になっている。杉の巨木は何本かあるが、綱で囲まれた老木がひときわ目を惹いた。老木の上部はなくなっているが、まだまだ樹勢は感じられる。とにかく樹齢1800年の巨杉の太さは半端ではなく、ただひたすら感心するばかりだった。国の特別天然記念物となっている。


大杉までは石の階段


石徹白大杉

ブナの稜線 この名所を過ぎるとそこからは、登山者の領域になる。よく踏まれた登山道で、多くの人に歩かれているようだ。最初は少しだけ山腹をジグザグに刻み、やがて尾根通しのコースとなり、銚子ケ峰の山頂まで続く。登山口の標高が1100mほどあるので、ブナ主体の樹林から始まる。「おたけり坂」と呼ばれる急坂までは比較的緩やかな尾根だ。花は、たまに目にするギンリョウソウと、咲き始めたマイズルソウやアカモノが目に付く程度だった。それでも早朝のブナ林を歩くのは清々しくて気分がいい。ここのブナ林は巨木が少ないようだがその分、育ち盛りの幹の細い幼木を多く見かけた。災害によるものか、伐採によるものか分からないが、幼木の多さからブナに適した生育環境であることが伺える。灰白色をした樹皮のブナにからみつく、ツルアジサイの緑色が鮮やかだった。


ツルアジサイが絡むブナ

おたけり坂 しばらく緩やかな尾根歩きが続き、「おたけり坂」で急登となる。標高差は50m程だが緩やかな登りに慣れた体にはきつい。息を弾ませてグイグイと高度を上げていくと右手に、雨宿りの窟が見えてくる。これを過ぎると傾斜が緩み再び、緩やかな尾根歩きに戻りやがて、神鳩の宮避難小屋に到着した。ログハウス風の立派な小屋で、マットや寝袋などが備え付けられていた。小屋の近くに水場があるらしく、案内の標柱があった。小屋前でミヤマキンポウゲの黄色い花が、風に揺れていた。


神鳩(かんばと)の宮避難小屋

花の道 稜線からはこれから向かう銚子ケ峰の南端が見えている。山肌は、ダケカンバの緑色の若葉で染まり初め、所々にある残雪とのコントラストは、初夏の亜高山息の山を印象づけていた。雨の心配は無いが、ガスに霞んでいたのが残念であった。徐々に高度を上げていくと樹木が少なくなり天望が開けていく。足下には、イワカガミ、ミツバオウレン、アカモノ、イワナシ、マルバスミレ、ツマトリソウなどが途切れることなく咲いていた。


母御岩

母御岩 やがて前方に「母御岩」が見えてくる。銚子ケ峰は台地状の山で、山頂部は広がりがありゆったりとしている。ここまで高度を上げてくると、イワカガミに混ざって時折、ハクサンチドリが見られ初め、白山の山域に入っていることを実感した。ところで母御岩(ははごいし)だが、ガイドブックによると「白山を開いた泰澄大師の母が、女人禁制を犯して来たために神の怒りにふれ、この石の間で息絶えたという伝説がある」とある。さすがは1000年以上の歴史を持つ禅定道のひとつ、名所にはいわれや伝説が残されている。


ダケカンバの葉が緑付いてきた

銚子ケ峰 母御石からは、開放感のある笹原の道を緩やかに高度を上げていくと、銚子ケ峰山頂に至る。樹木もなく天望はいいが、この日は生憎ガスがかかり遠くまで見渡すことができなかった。少しくお腹がすいてきたので、おにぎり一個とバナナを食した。山頂には特に目立ったものは無いが、山名を刻んだ立派な石の台の上には、山名版が取り付けられていた。花の芽を膨らませ始めたコバイケイソウが印象的だった。


銚子ケ峰山頂


赤兎山

 
山頂付近にある雲石とももすり岩

 さて、時計を見るとまだ8時である。遠くに霞む三ノ峰まで行けるかどうかは疑問だが、当初の予定通りとりあえず、行けるところまで行くことにした。稜線を縦に見る限り、それほどきついアップダウンはなさそうだ。灌木と笹で覆われた稜線は、どこを歩いていても天望がよい。西から稜線を越えて吹いている風もさわやかだった。


白山へと続く縦走路

 


三の峰と別山

一ノ峰 稜線には、紫色の花をつけるムラサキヤシオや白色の花をつけるオオカメノキなどの灌木がよく目立つ。季節が進むとナナカマドが白い花をつけることだろう。他にカエデの類としては、オオイタヤメイゲツ、コミネカエデが目にとまった。時折ガスがはれると、残雪がついた別山が行く手に大きく浮かんでくる。これを励みに、一の峰を越え、二の峰を目指して歩いた。残雪のトラバースが少しあったが問題はなかった。雪解けの跡にはキヌガサソウやサンカヨウが咲き出していた。また、ハクサンチドリは今が花の盛りのようで、一ノ峰を過ぎた当たりからよく見られるようになった。


稜線に咲くムラサキヤシオ

釈迦堂跡 一ノ峰、二ノ峰ともに稜線上のピークにすぎず、休憩できるような所はなかった。二ノ峰を過ぎたところに、「水呑釈迦堂跡」があり、ちょっとした広場になっていたので、ここでガスが晴れるチャンスをねらいながら昼食休憩とした。ここからだと三の峰はすぐそこで、標高差は150mほどだ。三の峰を往復する時間と体力は十分にあったが、明日の朝は5時の出勤なので自重することにし、ここでガスの晴れるのを待った。三ノ峰を見上げると、こちらに向かって降りてくる登山者が三人ほど確認できた。足下に目を移すと、ヒメイチゲの小さな白い花がよく咲いていた。さてまだ時間は早いが、今日はここまでにして戻ることにしよう。


別山

 
三ノ峰               別山


二ノ峰


残雪

帰路 銚子ケ峰まで帰ってくると、大勢の登山者で賑わっていた。朝方は、休日のまずまずの好天にも関わらず人が少ないなとと思っていたが、余計な心配は無用だった。帰路はもう一度、一つひとつ花を確認しながら下った。朝は花を閉じていたタムシバが、陽射しを受けて大きく花を開いていたのが印象的だった。


タムシバ


ブナ


ツルアジサイ ユキノシタ科 アジサイ属

定額1000円 順調に下って13時には駐車場に戻ることができた。この時点で駐車場は満車となっていた。帰路は白鳥ICから入り、定額1000円のメリットを生かすべく、名古屋高速を避けて、関から東海環状を通り大回りして豊田経由で川越ICで降りた。普段は4800円かかるが1000円になると気持ちがいい。 完

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