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2008年10月18日 鎌ガ岳(鈴鹿)

 

鎌ガ岳(鈴鹿)2008年10月18日 No.465 隊長
宮妻キャンプ場(8:46)〜水沢峠分岐(9:16)〜水沢峠〜水沢岳1030m〜衝立岩〜岳峠(12:16)〜(12:25)鎌ガ岳1161m(12:56)〜宮妻キャンプ場(13:57) 累積標高+1080m 歩行距離9.5km

 林道が通行できるか事前に調べてなかったが、問題なく宮妻キャンプ場の駐車場まで入ることができた。通行止めなら往復の林道歩き1時間が追加されることになる。今年の豪雨による災害は、御在所あたりに集中し局所的だったのだろうか。 駐車場まで車を進めると、登山者の車が何台か駐められていた。早速準備をして林道を歩き出す(標高350m)。鎌ガ岳登山道分岐を見送ると林道には頑丈なゲートが設置されていた。もう少し上の方にゲートがあったように思ったが、記憶が定かではない。駐車場から林道の水沢峠登山口までは約30分の行程だ。山頂付近がやっと色づき始めたところで、林道沿いの草木はまだ夏の装いだ。作業用のトラックが1台、エンジンを唸らせて上がっていった。

  予定通り林道をあがり、水沢峠分岐(標高570m)で一息入れる。以前は道標も朽ちていたが今は、立派な道標が設置されている。ここから峠までは、本谷左岸につけられたコースを40分ほど登る。植林帯であり、天望もなく昼間でも薄暗い。最近は踏み跡も薄くなってきたようで、しっかりと目印を確認した方がいいだろう。岩の転がるゴルジュ状の荒れた谷に出ると、右手には水がしたたる岩壁がある。岩壁にはダイモンジソウがへばりつくように生えている。この谷の上部が水沢峠だが、ルートはこの岩壁の対岸の斜面を這い上がるようになっている。目印が少ないので、進路を間違えないようにしたい。 水沢峠は県境稜線の鞍部にあり、標高は850mほどだ。樹林帯で見通しはないが、落葉樹林帯に入るので明るいルートになる。歩きにくい痩せ尾根を30分ほど登り、水沢岳(標高1029m)に立つ。途中、風化してざらつく花崗岩の露出があるので注意する。

 山頂部には誰も居ない。灌木で天望は優れないが、風の音と鳥のさえずりを聞きながら、木陰に入り、ミカンを食べて一息入れる。 ここから鎌ガ岳までは、県境稜線歩きとなる。多少のアップダウンはあるが、天望もよく比較的歩きやすい。まずは水沢岳の北面のガレ場を下る。花崗岩が風化でザレているので滑りやすい。上部からは天望がよく、これから向かう県境稜線が一望できる。こちらに向かって歩いてくる登山者が遠くに見える。今までにも季節を変えて色々と歩いてきたが、この稜線ではそれほど多くの登山者とは出会わなかった。きょうも、行き交うのは数えるほどの登山者だろう。  稜線ではシャクナゲの他に、それほど大きくはないが、ブナが所々で見られる。またこの時期は花は少なくなっているが、リュウノウギクやアキノキリンソウが少し咲いていた。それとフクオウソウが一株だけ咲いていた。

 順調に歩いて鎌が岳の山頂に立つ。さすがは鈴鹿の人気山岳だけあって、多くの登山者で賑わっていた。木陰に入る簡単に昼食を済ませる。見上げるとパラグライダーが2,3機空高く舞っていた。入道あたりから離陸し、上昇気流に乗ってぐんぐんと高度を上げていったのだろう。一度は鳥になった気分で大空を飛んでみたいと思うのは、自分だけではないだろう。

 山に来れば、山の会話が弾むのは登山者の特徴だと思う。この時期は入門の時期でもあり、子連れも何人かいる、またこの山域に入るのも初めてという登山者も多い。いろいろな会話が聞こえてくる。この鎌が岳へは登路が多いので、下山のポイントを迷っている人もいた。丁寧に案内してあげた。帰路はカズラ谷コースで急降下。約1時間で出発地点に戻った。

*写真が少ないのは、撮影したものを操作を誤って消してしまったため。リベンジは来週、もう少し色づいてからもう一度歩こうと思う。

 

以下 山と渓谷2008年6月号の校正前の原稿より

 鎌ケ岳は鈴鹿一の鋭峰で、北アルプスの槍ヶ岳のように、どこから見ても容易に山名を同定できる。登路は湯ノ山側に集中していて、宮妻渓谷からの唯一の登路が、このカズラ谷コースである。この谷コースを利用すれば、比較的短時間で山頂を往復できるがここでは、鎌尾根を絡めたコース設定とした。
 駐車場を後にして林道を歩き始めるとすぐに、右手に下山で使うカズラ谷登山口がある。ここから林道を40分歩くと水沢峠分岐が標識がある。ここから峠までは、本谷左岸につけられたコースを40分ほど登る。支谷を何本か横切るが、目印を確かめ明瞭な踏み後をたどれば問題はない。水がしたたる岸壁が右手に見て、対岸の急斜面を登るとすぐ水沢峠に着く。
 峠からの展望はあまりよくない。ここからは県境稜線を北上する。まずは最初のピークとなる、水沢岳(地形図には宮越山と書かれている)1029mを目指す。鈴鹿山脈にあっては、これより南には1000mを越える山はない。ピークまでは尾根の急坂が続く。途中に痩尾根のザレ場があるのでスリップに注意したい。徐々に展望が開けると背後に、イワクラ尾根や入道ケ岳が見え始めると山頂は近い。山頂は灌木帯の中だが、東側の展望が開けている。
 さてここからはガレ場の急斜面の下りがある。ガレ場の上に立つと、これから歩く県境稜線や鎌ケ岳を見渡すことができる。ガレの縁の灌木に掴まりながら慎重に下る。このあたりからホンシャクナゲやシロヤシオが多くなり、花の咲く5月には登山者の目を楽しませてくれるだろう。
 これより約2時間ほどの県境稜線の痩せ尾根歩きが続く。小さな起伏がいくつもあり展望もよい。この区間で最もダイナミックな所は、岩場が多くなる衝立岩周辺だろう。ピークの岩場に立てば、パノラマの展望が得られる。ちょうど中間地点なので休憩にもよい。小ピークを越えるごとに、徐々に大きく見える鎌ケ岳の姿に励まされながら1時間ほど歩くと岳峠に着く。峠手前には鎖場があるので慎重に通過する。最後のピークに立つと鎌ケ岳の全容が一望でき、写真撮影に都合よいので、是非とも立ち寄ってみたい所だ。
 岳峠からは岩場の急斜面を15分ほど登ると鎌ケ岳の山頂に到着する。山頂部からの見晴らしは抜群によく、南端からは今歩いてきた鎌尾根や雲母峰、入道ケ岳を、北端からは御在所岳と雨乞岳が一望できる。  帰路はカズラ谷コースを降りる。岳峠まで戻り、長石谷コース分岐を少し過ぎた所に宮妻渓谷への分岐がある。長石谷側をトラバースし尾根を乗り越すと緩やかに降下が始まる。鎌ケ岳の東面一帯は規模は小さいが、ブナ林が保護対象になっている。雲母峰への分岐を過ぎると南側の急斜面を下り、しばらく尾根道を歩いてから、カズラ谷の斜面コースへと移っていく。このあたりはホンシャクナゲやイワカガミが多いところだ。水場を通過すると植林帯に入り、左からカズラ谷の沢音が聞こえ出すとカズラ谷登山口は近い。

 


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