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2008年4月12日 御池岳、鈴北岳(鈴鹿)

 

御池岳、鈴北岳(鈴鹿)2008年4月12日 No.446 隊長
コグルミ谷登山口(9:10)〜タテ谷分岐(9:45)〜県境尾根(11:25)〜西のボタンブチ(12:00昼食)〜御池岳(13:10)〜カタクリ峠(13:40)〜駐車場(14:30)
 日曜日は天気が下り坂との予報が出ていたので、土曜日の山行を計画した。朝4時に起きて朝食を済ませ、5時前に熊野を出た。昨日は鵜殿町で会議があったので、昨日から三重県の最南端から最北端まで移動することになる。山はたくさんあるが、春の花を求めるならやはり鈴鹿北部の山ということになる。少し出発が遅れたが、9時過ぎに出発することができた。


ボタンネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属

前回から1週間が経過し、谷に少し緑が増えてきたように気がする。現在は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の3種類が花盛りだ。もともとこの属は環境による変化が多いようだが、この谷のものはシロバナだろう。他にはミヤマカタバミが花を開き始めたところだが。この花は日差しに敏感に反応するので、曇り空だと蕾になっている。ニリンソウとカタクリはまだ根生葉が開いたところだ。ユリワサビが小さな白い花を開いている。エンレイソウも壺にの状態だ。キクザキイチゲは開いているのがあった。谷の春はまだ少し早いが、来週あたりから一気に咲き始めるのではないだろうか。


ヤマネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属


シロバナネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属

前回「ダイアリー」に書いたものを再掲する。

さてシロバナネコノメソウだが、ハナネコノメソウとの区別が難しい種だ。三重県レッドデータブックを見ると、いずれの種も記載されていないので、絶滅危惧種に上げられていないことがわかる。
 まず植物図鑑の元祖的存在の、「牧野 新日本植物図鑑」(北隆館)で調べてみる。すると、ハナネコノメソウ(chrysosplenum stamineum)は取り上げられているが、シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)は掲載されていない。chrysosplenumは、ネコノメソウ属のこと。同じく北隆館の「原色牧野植物大図鑑」も同じで、シロバナネコノメソウは扱われていない。それでは山渓ハンディー図鑑はというと、ハナネコノメソウやキバナハナネコノメソウの母種がシロバナネコノメソウという扱いになっている。学名を見てみる。
  シロバナネコノメソウ(chrysosplenum album)
  ハナネコノメソウ(chrysosplenum var.stamineum)
  キバナハナネコノメソウ(chrysosplenum var.flavum)
となっている。 var. がつくということは、変種であるということを表しているので、シロバナネコノメソウが母種であることになる。
 まず記述の詳しい、牧野新日本植物図鑑でハナネコノメソウについて調べてみる。

●ハナネコノメソウ ユキノシタ科 ネコノメソウ属
花猫の目草:花の白さが特に著しく感じるのでこの和名がつけられたようだ。
【生育地】
関東および中部の山間の谷川の縁に生える多年草:牧野図鑑
福島県から京都府に分布:ハンディ図鑑
生育地に関しては、地域的なものや、山間の谷川の湿地については一致している。一方シロバナネコノメソウは、分布域が近畿地方、中国地方、四国、九州となっている。ちょうどこの三重県のあたりで分かれていることになる。昔から西と東は、関ヶ原で分かれるようだが、植物に関しても、同じようなことがいえるのかもしれない。
【茎】
花茎は、高さが5センチ内外。直立して頂端部に花序がある。その他の茎は花が終わってから根の近くから出て、四方に伸びる。黒っぽい紫色を帯び 細くて水分を多く含み軟らかく白色のちぢれ毛がある。

鈴鹿南部で撮影2007/3/17

【葉】
小型で葉柄がある。一般に対生であるが、時に互生も混じる。円卵形。鈍鋸歯。黒っぽい緑色。
【花】
花茎の頂端に、2、3個の花がまばらにつく。早春の頃開く。花弁はなく、ガク片が白色で4個。直立し鐘状に開く。ガク片は長蛇円形で先端は鈍形。縦の脈がはっきりと見える。おしべは8個。花糸は細長くガク片より長く直立している。やくは、紫黒色の点状。めしべは1個で、花柱は二つに分かれる。さく果。

シロバナネコノメソウ(母種)ハナネコノメソウ(変種)
分布近畿地方、中国地方、四国、九州福島県から京都府に分布
花期4,5月3,4月

ガク片は斜開し、先がとがる
やくは、暗紅色。

ガク片は、まるみがあり先はとがらない
やくは、暗紅色。牧野では、紫黒色。
茎 走出枝は暗紅色を帯びる
葉扇円形で鈍鋸歯が6〜9個卵円形で、葉の鋸歯は3〜7個
総合的に判断してみると、花がシロバナネコノメソウで、茎と葉は、ハナネコノメソウの特徴を備えているようだ。母種が少しずつ変化していると見ることができる。


ミヤマカタバミ


バイケイソウ


エンレイソウ


タケ谷から尾根を稜線まであがった。

本日は前回とコースを変えて、タテ谷から入ることにする。分岐点からは尾根を乗り越すまで急坂が続くが、花が多い所でもある。日当たりのよいところでは、ミヤマカタバミが花を開いていた。バイケイソウの緑も鮮やかだ。今回は途中から、谷か尾根を登ろうと考えていたので、タテ谷を過ぎてから尾根に取り付いてみた。傾斜もきつくはなく、藪もなく、歩きやすい尾根だ。福寿草はあってもよさそうだが見つからない。福寿草が育つ条件のうちの、何かがかけているのだろうか。高度を上げていくと、峠コースのP1056が見えてきた。谷からの標高差は200mほどなので、それほど苦労もせずに稜線まであがれた。前線が通過し、少し寒気が入ってきたようだ、早足でガスが流れていく。鈴北山頂は登山者で賑やかな様子だ。山頂には寄らずに西のボタンブチに向かおうとしたら、りんちゃんが前から歩いてきた。ガスってたきので早々に切り上げ、帰路につく所だったらしいが、同行することになった。


フクジュソウ

 コースを外れると登山者が少なくなる。福寿草を見に行ったが残念ながら、曇天のために花は閉じていた。これは想定内だが、少しくらいは開いてほしかったと思うのは、人の勝手だろう。時計を見ると昼の時間だったので昼食にする。日差しが戻れば花が開いてくれるが、どうもガスが取れる気配はない。簡単に食事を済ませ丸山に向かう。ガスで展望はない。丸山の方から笛の継続的に聞こえてくる。仲間がはぐれたのかどうか推測の域を出ないが、ガスの御池岳は要注意だ。地形図をコンパスは必ず持参するようにしたい。


バイカオウレン


ミスミソウ

山頂を後にしてカタクリ峠に降りる。真の谷までは残雪があり、油断すると足を取られる。快調に下って天ケ平へ。そうしたら大きなカエル様がお出迎え。撮影が終わるとよたよたと、ゆっくり歩いていった。カタクリの葉は出ているが、花はまだ少し先になるだろう。小さなバイカオウレンの花が一輪、他には何もない稜線で目にとまった。

 

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