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2006年10月8日 燕岳

 

燕岳(北アルプス) 2006年10月8日 No.383 隊長
天気:雨のちみぞれ、のち雪、のち吹雪、のち曇り、のち晴れ
中房温泉燕登山口1400m(6:02)〜(8:20)合戦小屋(8:30)〜(9:23)燕山荘(9:35)〜燕岳2763m(10:12)〜燕山荘(10:53)〜合戦小屋(11:48)〜中房温泉(13:50) *コースタイムは小休止と撮影時間を含みます
10月7日19:00中房温泉着車泊、10月8日中房温泉14:00〜自宅18:50

天気図を見ると典型的な冬型気圧配置になりそうだ。3連休ではあるが、空いているのは8日のみ。どうするか悩んだが、登山道は風裏であること、場合によっては燕山荘か引き返すこと、を条件に決行した。予想通り合戦小屋あたりまでが雨で、それからみぞれになり雪になった。3段紅葉が見られるかもと期待したが、現実はそう甘くはなかった。燕山荘から燕岳の稜線は、吹雪いていてまともに歩けなかった。氷の粒がほおにプチプチとあたって痛い。ぬれた手袋の温度が一気に奪われ、指先が痛い。

ぺーじ1 ぺーじ2

松本に入ると、山にまとわりつく雲が気になりだした。前線通過後の好天に望みをつなぐが、縦縞の等圧線が気になっていた。冬型になることは予想されたが、回復に向かっているので明日の好天に期待する。長野自動車道の豊科ICで降りて、豊科のサティーで食料品の買い出しをする。今晩と次の日の朝、昼の買い出しだが、あれやこれや食材を見て歩くのも楽しい。今日は登山口の駐車場まで行き、車泊するだけなのでぶらぶらと時間をつぶす。約50分で中房温泉の町営無料駐車場に到着する。到着がまだ早かったので、まだまだ駐車のスペースがあったが、朝起きると満車で路肩駐車も多かった。適当案場所に駐車し、のんびりと夕食をとり横になる。駐車場横の中房川の流れが騒々しい。かなりの降雨があったようだ。12時過ぎに目が覚めるが再び眠りに入り気がつくと5時半だった。外は雨。簡単に朝食を済ませ、合羽を着て笠をさして出発する。ほとんどの登山者は車の中で天気を伺い待機しているようだ。小屋泊の登山者は急いで出発することもないだろうが、日帰りで山頂を往復する者にとっては早朝出発が原則だ。山頂に着く頃には青空が広がるという、自分勝手な予測に勇気づけられ核心を持って歩き出す。ここのところ、週一回の登山とトレーニングのおかげで足取りも軽やかだ。吸い込んだ酸素が即、足の力に変わる手応えが感じられる。カッパを着ているので汗があまり出ない程度の速度を目安に高度を上げていく。


第2ベンチ

ここはいくつかあるアルプスの急登だそうだが、標高差は約1400mなので、アルプスでは楽な方である。確かに合戦小屋までは登りがきついが、笠新道に比べるとそれほどでもない。エアリアマップによれば、合戦小屋までが3時間とあるが、休憩と撮影を入れて2時間15分でクリアできた。

合戦小屋2363mが近づくと、徐々に雨がみぞれに変わり、小屋付近ではうっすらと雪化粧をしていた。何人かの登山者が小屋で休憩をしていた。また、下山者と出あるのもこのあたりからだが、それほど多くはなかった。帰りにうどんでもいただこうかと思い、小休止程度で小屋を後にする。紅葉もこのあたりが見頃のようで、目の覚めるほどの紅葉、黄葉がササの緑色に映えている。森林限界が近づき、天気さえ良ければ展望が楽しめるが、残念ながら何も見えない。


合戦小屋


合戦小屋では数センチの積雪があった。

小屋から合戦沢の頭までは急登が続くが、それ以後は緩やかな尾根コースになる。さぞかし展望もいいことだろう。完全に雪に変わったところで笠をたたむ。というより風がきつくなってきたので、さしていられなくなってきた。鎖場も雪が固まって滑るので慎重に通過する。ガスの切れ間からカラフルなテントが見え隠れし始まる。燕山荘はもうすぐだ。


山荘前の道標


燕山荘

稜線に出ると吹雪いていて、紛れもなく厳しい冬山である。もはや黄葉を楽しむレベルのものではなくなった。とりあえずは小屋に逃げ込む。土間が小さいために混雑していて、あまり長居もできないし、体温を下げたくないので、雨具の下にもう一枚フリースを着込んで、山頂の往復に向かう。ほとんどの登山者が山頂往復を断念しているようだ。往復の所要時間が1時間だから、その間風雪に耐えなければならない。風雪が厳しく、横殴りの風が容赦なく吹き付けてくる。氷の粒がプチプチと頬にあたり痛い。冬用の手袋の上にオーバー手袋をしているが、少しぬれているので一気に温度が下がってきて、指先がしびれるように痛い。強風に何度かよろめき、そのたびに腰をかがめてやり過ごす。視界がないので距離感がつかめない。踏み後がすぐに吹雪がかき消してしまう。稜線のコースだから、コースを外すことはないだろうが、所々にあるフィッスロープがたよりだ。岩場は凍り付いているのでスリップにも最新の注意を払う。アイゼンがあれば安心できるが、降雪があってもアイゼンまではいらないだろうと持参していなかった。ツエルト、食料二日分、ガソリンコンロ(燃料満タン)、羽毛のダウン、予備の手袋など、緊急用の装備はいつも準備しているが、アイゼンは持ってこなかった。アイゼンの必要な最後の岩場の登りは、特に慎重になった。

山頂は誰もいなかったが、私の後を追うように男性3人グループが到着した。山名が刻まれた石の雪を払いカメラに納める。風雪が強く長居はできないので、すぐに折り返す。


山頂直下の登山道をゆく


山頂直下から山頂を見上げる。岩と氷の世界

ぺーじ1 ぺーじ2

 

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