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2006年6月4日 両白山地(能郷白山) 

 

2006年6月4日能郷白山1614m No.369 隊長

能郷谷ルート 自宅(4:00)〜国道23号線〜258号線〜21号線〜県道〜159号線〜能郷谷林道〜林道駐車地点(6:30)〜能郷白山登山口(7:10)〜1合目(7:53)〜2合目(8:37)〜3合目(9:10)〜4合目(9:40)〜5合目(10:19)〜(10:45)能郷白山山頂1614m(11:10)〜祠(11:40)〜能郷白山登山口(14:30)〜駐車地(15:04)〜自宅(18:10)

鈴鹿の花が終わり、大台のシロヤシオは絶不調、八ヶ岳の花にはまだ早い、そこでねらいは標高が1600m〜2000mで花の多い山にターゲットを絞る。能郷白山まで行く時間があるなら、一層のこと本家白山へとの判断で、いつもは通過地点だったが、一度は登ってみたい山だったので、迷うことなく決行した。怪我をした足のリハビリもほぼ完了したが、まだ痛みは残っているので無理はできない。しかし登山に手加減てものはない。登りにかかる平均的な時間は約4時間。足にはまだ痛みが残っているので、多少の不安はあったが、時間をかければ何とかなるだろうと決断した。

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当初は前夜車中泊を考えていたが、アプローチにかかる時間と行程を考え早朝の出発に切り替えた。自宅を4時に出発し国道を乗り継いで能郷谷になる登山口を目指した。高速道路を利用すると多少の時間短縮にはなるが、距離を優先して一般道を選択、行程は片道約120キロほどになった。早朝なので快調にとばして予定通り2時間半で到着した。しかし落石や路肩の崩壊などにより登山口までは入れず、登山口まで40分の所に車を置くことになった。往復すると1時間10分ほどかかるので、予定コースタイムにこれを加算するが、時間にはゆとりがあるので大丈夫だ。

釣り人の車を入れ、すでに数台に車が路肩に止められていた。林道歩きがあるので敬遠されているのかどうかわからないが、予想よりも登山者が少ないので、少し拍子抜けした感がある。初めてのアプローチなのでこれから登山口までどれだけあるかわからないが、とにかく歩くしかない。林道で見かけた「熊注意!」の看板が頭から離れないので、ザックにグラ下げた鈴を鳴らしながら歩く。水量が増しているのか、能郷谷の豪快な渓流の音が谷に響いていて、鈴の音が熊の耳まで届いているか不安だ。地形図を取り出して現在位置を確認するが、よくわからない。しばらくして林道が左岸に映ったので現在位置を確認できた。谷は若葉色一色で埋め尽くされていてるので、今が盛りと咲くタニウツギのピンク色がよけいに目立っている。このあたりの雰囲気は鈴鹿の谷と似通っているが、決定的な違いは、植林された杉や檜がないことだ。


落石のため通行不可 ここから登山口まで歩いて40分

しばらく林道を歩くが、荒れ放題の感がある。林業があれば、林道のメンテナンスがあるだろうが、おそらく砂防工事のための林道だろうから、工事がなければ荒れ放題になりかねない。林業やら砂防工事やらのおかげでアプローチが楽になるのは有り難いが、事前に人の手が加わるのはどうかと思う。これはまったく身勝手な考えだ。人の手が入らなくなれば自然に帰る。これは当然だろう。


能郷谷


満開のタニウツギ


能郷白山登山口 学生さんのテント

ひと汗かいた頃に登山口に到着した。大きなテントが設営されていた。バス利用の場合、日帰りは無理だろうから、ここを基地にしているようだ。

急登の途中に1合目(登山口から460m)の指導標


コミネカエデ


ユキザサ

谷を渡るとすぐに、尾根の末端に取り付く形で急登が始まる。まずは標高差約300mを一気に登る。芽吹きの落葉樹主体の尾根は清々しさが感じられるが、登り始めるとすぐにじっくりと新緑の森の雰囲気に浸っていられるゆとりがなくなってくる。怪我をした右足をかばいながら、こわごわ足に力を入れていく。

地元のおじさんの話によると、登山道が林道と交差する地点までは車で上がれたこと。村の人たちがネマガリ竹を取りにきて、山ほど採って帰ったこと等の話をしてくれた。私もきょうは、竹採りに来たと言っていた。ということは背丈を超すチシマザサがたくさんあるということだろう。たまには竹採りもいいなと、腰を上げた。


前山に至る稜線

稜線に出るとに2合目(標高1170m)の指導標がある

緩やかな登りが続く痩せた稜線は、チシマザサとブナで覆われ、林間にはコミネカエデ、オオカメノキ、リョウブ、コシアブラ、ナナカマドなどを確認できた。それから、オオヤマレンゲかと思われが、この山域にあるどうかは調べる必要がある。樹木の花は、ムラサキヤシオの鮮やかな赤系統の色と、オオカメノキの純白が目を惹き、新緑の若葉とマッチしている。足下には、ユキザサ、チゴユリ、エンレイソウ、ツクバネソウ、ショウジョウバカマ、キジムシロの花が咲いていた。


エンレイソウ


ツクバネソウ

前山手前に3合目(標高1330m)の指導標

稜線から前山までの勾配はそれほど手強くはないが、標高差が300mほどあるので、決して楽なことはない。稜線はブナとチシマザサが続くき、岐阜県側は展望がよい。能郷谷側の上部には崩壊箇所が何カ所かあるのが確認できる。谷上部には残雪がり、雪の解けた後には、コバイケイソウやサンカヨウが大きくなっていて、前山1491mあたりでちょうどサンカヨウが見頃を迎えていた。またこのあたりから、マイズルソウが咲き始めていた。しかしゆっくりと花を見るゆとりがない。厄介なブヨとハエが多くなり、立ち止まろうものなら、顔のあたりがブヨに囲まれてしまう。風通しの良いところでブヨを避けようと思ったが、立ち止まれそうな場所もなく、前山まで休まずに行くことになった。


ムラサキヤシオ(ミヤマツツジ)

鞍部に4合目(標高1460m)の指導標

登山道は前山の西側を通過していて、福井県側に展望が開けている。このあたりから、これから歩く吊り尾根の向こうに雪を持った能郷白山の全容を見ることができる。前山あたりの標高が1500m、吊り尾根の鞍部の標高が1400m、山頂の標高が1617m。今回の累積標高差は1330mあり、吊り尾根の累積標高が235mであるので、距離はあるが比較的楽な区間だ。

登山道脇にマイズルソウがびっしりと生えている。吊り尾根の日当たりの良いところでもまだつぼみで、是非とも花の時期に歩いてみたいものだ。イワナシの咲き残りを探してはみたが、時期を逸しているので目にはとまらなかった。吊り尾根でも所々で見かけるムラサキヤシオが目を惹いていた。鞍部から高度をあげはじめると、所々にダケカンバの群落が見られはじめる。亜高山域に入っていることが実感できる。

さて、正面には能後白山の巨体が近づいてきた。右手の方が山頂のようだが、台地状の大きな固まりのように見える。まだまだ残雪が多く、湿度の高い空気が冷やされてガスが発生している。ガスが風に流されて、山頂も東にある祠が見え隠れしている。ここの開山は本家白山と同じだそうで、山岳信仰が1000年以上も続いているようだ。

山頂の手前に5合目(標高1450m)の指導標


サンカヨウとカタクリ

鞍部を過ぎると標高差200mの登りが続く。相変わらずブヨがつきまとい、振り払おうとして早足に歩くが、今度は息が続かなくなる。風衝地に入ると低木になり見晴らしが良くなる。大きな葉を開いたザゼンソウが目につきだすとサンカヨウも多くなってきた。残念ながら山頂付近のサンカヨウは、花の時期には少し早いようで開花株はごく少数だった。しかしカタクリはほぼ満開で、山頂付近の南斜面の雪解け後に至る所で群落を作っている。陽射しが弱いので半開の株がほとんどだが、これだけの群落になると見応えがある。



山頂の一等三角点


山頂ではカタクリが群生


咲き残りのキクザキイチゲ


オオバキスミレ


コバイケイソウ 花はまだ咲いていませんでした

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2006年6月4日