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2005,12,31 御在所岳 中道 裏登山道

 

御在所岳 2005年12月31日 No.350 隊長

 年の暮れ 登り納めに 御在所に 雪とたわむれ 気分が晴れる

スカイラインゲート(7:30)〜中道登山口(8:30)〜おばれ岩(9:20)〜キレット(10:10)〜山頂(11:35)〜国見峠(12:45)〜藤内小屋〜中道登山口〜スカイラインゲート(14:05)

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 ひと月ほど山に入れなかった。今日は御在所のスタンダードコースをじっくりと歩いてみようと、昨日から計画した。12月に入ってからの連続寒波で、鈴鹿の山は申し分のない積雪が予想される。1年ぶりの雪山が楽しみだ。
  朝から冷え込んでいるので、スカイラインもガチガチに凍り付いている。踏み固められた路面は、テカテカでツルツルになっている。人気山岳とはいえ、この時期は入山者が少なく、一般登山道は適度なトレースで歩きやすくなっているので、アイゼンなどはあまり必要がないが、今朝のスカイラインでは、実にアイゼンが頼もしく感じた。アイゼンが氷を捕らえる軽い金属音が心地よい。裏口の登山道を見送りトンネルを潜る。ゲートから中道登山口までは随分長く感じた。ゲートの通過を許可された山小屋のご主人が、車で物資を運んでいる。年末年始を登山者を迎える準備をしているのだろうか。都会の喧噪を離れて、ゆっくりと山小屋で過ごすのも悪くはないだろう。ガチ!ガチ!とアイゼンの音がトンネルに響く。トンネルを抜けると一層雪が深くなったように思えた。・・・・・


三滝川からみる早朝の鎌ケ岳と御在所岳

 朝日に輝く鈴鹿の山々の撮影を目論み、6時過ぎに家を出た。積雪直後だと朝日も映えるのだろうが、雲が多いこともあって、期待通りにはならず空振りに終わった。コンビニでおにぎり2個とあんパンを仕入れ、スカイラインのゲートを目指す。ゲートまではよく除雪されていて安心して走れるが、黒光りの所もあり要注意だ。ゲートには一台も車がなく閑散としている。準備をしているとゲートの向こうから小屋の主人の車が下りてきた。年末年始の登山者を受け入れる準備をしているのだろうか。路面を見るとガチガチに凍り付いた状態なので、最初から10本つめのアイゼンを装着する。ゴリゴリとアイゼンのつめが確実に氷を捕らえる音が、心地よく体に伝わってくる。登山口まではそれほど近くはないが、久しぶりのアイゼンの感覚を確かめるようにして歩く。


おばれ岩

ちょうど体が温まった頃に中道登山口に到着した。温泉街からやってきた山人がひとり、御在所山の家の方に上がっていった。登山口に立つ。登山口の案内板の埋もれ具合から推測すると、例年にないくらいの積雪量のようだ。トレースもしっかりとしているので、それほど苦労しないかもしれない。12月以来の寒波で低温傾向が続いているので、雪もサラサラで上質だ。ピッケルのよく刺さり、アイゼンと共に、冬山の欠かすことのできないアイテムであることを実感する。ここ数年は暖冬傾向が続いていたので、アイゼンやピッケルよりも、スノーシューとストックの方が有効だった。しかし今日は違う。


地蔵岩

朝から風が出ていたせか、空を見上げると足早に雲が流れていく。しかし青空が広がり、遠望の効く好天だ。ロープウェイも動き出している。まずは見晴らしのよい地蔵岩を目指す。ひと月ほど山から遠ざかっていたので、足が重く感じる。日々、4キロのジョギングは欠かせていないが、登山とは使う筋肉が違うようだ。



鎌ケ岳


キレットが近づくにつれて、積雪量も増してきたが、トレースがあるので比較的歩きやすい。しかしコースを少しでも外すと、太ももまで潜り込むほどの積雪だ。キレットの岩峰からは、鈴鹿の主稜線上の山々が一望できる。空気の透明度が高いので、北は霊仙まで一望できる。積雪直後ならもう少し白さが輝いていただろう。しかし青空も覗いているので、贅沢は言えない。ここで二人目の下山者と出逢う。



釈迦ヶ岳

 キレットを過ぎて少し登るとトレースが全くなくなった。先陣二人はここから引き返したようだ。トレースは確実にあるだろうと見込んで、スノーシューは持ってきていない。ここからはこのコースの中でも急登の連続するところだ。さて、どうするか、と考える間もなく足が動いていた。一般登山道で雪山アタックになるとは思ってもみなかったが、ちょっぴりと冒険心が刺激されて、気分は子供のようだ。さて今からは雪との格闘だ。吹きだまりにさしかかると腰まで沈んでいく。ラッセル車のように雪をかき分けながらしか進めないので、3歩進んで2歩下がる状態を繰り返す。当面の目標は10M先だが、これが果てしなく遠く感じられる。全く進めなくなったので、登山道を少し外して灌木鯛に逃げ込む。灌木に掴まったり、ピッケルを灌木にかけてながら登ると、何とか前進できるようになってきた。蒸気機関車のように全身から湯気が出てきた。ヤッケの下の薄手のフリースを脱ぎ、気合いを入れ直して、当面の目標である上部の岩峰帯を目指す。がんばりの甲斐あって、なんとか岩峰帯まで這い上がることができた。後に続いていた二人の登山者も追いついてきた。山頂までは後少しだが、助っ人が二人加わり頼もしい。ここで途中まで先頭を変わってもらい、その間に鋭気を養う。最後はまた先頭に立ち、ラストスパート。

昼は自販機の横のテーブルでと思っていたが、雪に埋没していて使えなかった。年の瀬の慌ただしい時期なので登山者や観光客も少なく、山頂は閑散としていた。たくさん野菜の入ったラーメンを作り、体の芯から暖まる。山頂まで行って雨乞岳の写真を撮ろうかと思ったが生憎、雨乞岳はガスに隠れているので、そのまま裏道で下りることにした。


国見岳


山頂の樹氷


イブネ、クラシ

 裏道のトレースはしっかりとしているので、歩きやすい。何人かの登山者と出合、無積雪期の平均的な時間で藤内小屋まで下りることができた。トレースがしっかりとしているほど、雪が踏み固められているのでよく滑る。小屋でアイゼンを外してしまったが、これが失敗。何度か滑って尻餅をついてしまった。登山客のために荷揚げをしている小屋のご主人に、「よく滑るね」と声をかけられてしまった。

 

2005_12_31