2005_09_17,18,19 鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳(北アルプス) |
■鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳(北アルプス)2005年9月17〜19日 No.341隊長 秋の空 弓折過ぎて 道半ば 目指すテン場は まだまだ遠い 昼過ぎて 双六小屋で ひと休み ねじり鉢巻き 鷲羽を目指す
小池新道の登山口に立ち、稜線を見上げた。双六へ向かうのは今回で3度目であるが、今回もはっきりとしない天気だ。昨晩は宴会があり、それが終わってから車を飛ばし新穂高温泉の駐車場までやってきた。もちろんビールの変わりにウーロン茶だ。新穂高温泉の無料駐車場は満車で、路肩にスペースを見つけてやっと駐車できた。しかも、次々と車が入ってきて騒々しい。それでも5時過ぎまで寝込んだようだ。準備を済ますせ駐車場をあとにする。2時間近く林道を歩いてきて体が温まっているが、小池新道から見る曇り空に、気分がぱっとしない。ザックを下ろして一息入れる。今回は2泊3日なので、少し食材にこだわりすぎたようで、ザックが重く感じる。それにこれからの季節、防寒対策が必要なので、シュラフはダウン500グラムにして、カバーも入れてきた。着る物はフリースも追加したので、ザックが重くなるのは当然だろう。食材もそれほどこだわったわけではないが、米は生米を、野菜はタマネギ2個、ジャガイモ4個、オクラ、キャベツ、ピーマン、白菜を詰め込んだ。それに伴い、調味料も増えてくる。パスタとラーメンは常備品だ。これからの長い行程をシミュレーションしてみると、背中のグルメが邪魔な存在に思えてくる。
この連休は駐車場の混み具合から推測すると、かなりの人がアルプスに入っていることが推測できる。この時期、秋雨前線が見え隠れするので、運が悪いと3日とも駄目ということになりかねないが、幸運にもこの連休は好天が見込める。笠新道の登り口でも、これからの急登に備える登山者が多かった。 さて、河原に降りて小池新道に入る。要所には簡単な橋が架けれら、石を拾いながら歩き始める。大雨でも降ればたちまちコースが変わってしまいそうだが、ペンキの目印がしっかりとしているので、それを目安に歩く。とりあえずの目標となる鏡平をめざす。この谷沿いのコースはほとんどが石を踏んで歩くことになるので、バランスが求められるが、大きな荷物に振られてよろけることも。朝5時の出発を予定していたが、寝坊して40分ほど遅れた分を挽回しようといつもより少しペースを上げる。といっても18キロの荷物を担いでいるし、本日の行程は累積標高差2000m、歩行距離18kmほどあるので、あまり無理はできない。
予定どおり、秩父沢、シシウド原を通過し、10時20分に鏡平に到着した。残念ながら槍はガスで見えない。小屋の前の椅子に座りひと休みする。 もう少し待てば、ガスの合間から槍が顔を出しそうだが、まだまだ行程の半ばなので、のんびりとはしていられない。とりあえずは、弓折の分岐までの標高差300mを早く稼いでおきたい心境だ。体が冷めぬうちにザックを担いで鏡平小屋をあとにする。今日は体調もいいほうなので、歩き始めの足のだるさもそれほどない。マイペースで高度を稼ぎ、約1時間で弓折の分岐に立った。ハイマツ帯の稜線に立つと、アルプスに来たという実感が湧いてきて、登りの苦労も忘れてしまう。20分ほど休憩をして時間を稼ぐが、槍ガ岳や笠ヶ岳は相変わらずガスに隠れている。
左手に双六を見ながら稜線を歩く。起伏もそれほどなく快適な稜線歩きができるところだ。比較的なだらかな所も多く、枯れかかったハクサンイチゲが、夏の花畑の華やかさを物語っている。オヤマノリンドウ、チシマギキョウ、ウサギギクがしぶとく咲き残り、トウヤクリンドウがよく咲いていた。緑のハイマツ帯にあって、真っ赤な実をつけたナナカマドが印象的だ。稜線の標高は概ね2500mオーバーだが、ナナカマドの紅葉は今しばらくお預けのようだ。最後のピークを過ぎると、鷲羽岳を背景に稜線の鞍部にある見慣れた双六小屋が見えてきた。一年ぶりだ。相変わらずガスが多く、シャッターチャンスを逃すと次はいつになるかわからない。徐々に高度を落としながら双六小屋に到着した。
予定通り13時までに到着できた。ペースが落ちてスタミナが切れたときは、ここで一泊することも選択しに入れていたが、どうやら三俣野営場まで行けそうだ。双六小屋は風がよく通るので、数分の休憩ですぐに体が冷えてきた。鷲羽岳が白く輝いている。ここまで来ると三俣野営場は射程距離に入ったことになるが、累積標高差340m、距離4.2kmほどある。朝の歩き始めから7時間半が経過し、疲労もかなり蓄積してきているようだ。
双六小屋から巻道分岐までの少しの急登が辛い。ふくろはぎの筋肉がピリピリしている。ぐっと力を入れると筋肉がつりそうだ。騙し騙し登る。巻道は平坦なハイマツ帯につけられているが、カールの末端部分は谷になり、地形も複雑になっている。コースにも起伏があり、疲労のたまった体には厳しい。1時間ほど歩いたが、これから先がまだまだ遠く感じられる。ガスも濃くなってきていて展望もない状態なのでモチベーションも上がらない。岩に腰をかけ小休止をとった。予定ではあと1時間ほどで三俣峠に到着できるので、気持ちを入れ直して歩き始める。三俣蓮華岳の大きなカールに入ると、緩やかな登りがしばらく続く。ふくらはぎの筋肉が悲鳴を上げだした。先ほどの休憩で足を冷やしたようだ。小刻みに立ち止まり足を休めながら筋肉を温める。なんとか大丈夫のようだ。徐々にペースを戻し、なんとか三俣峠に到着した。そして30分ほど下り三俣小屋に到着した。
テント場はハイマツ帯に点在していて、すでに数張が設営されているものの、スペースは十分にあり、制約無しにお気に入りの場所を選択できた。流水が豊富なのがうれしい。受付で設営料の500円を支払い、缶ビールを2本仕入れる。三俣山荘オリジナルの地形図が800円で売られていたので、ついでにこれも購入した。テント場にもどり、ハイマツ帯のひとつの区画を独占しテントを設営する。ガスの切れ間からのぞく鷲羽岳をつまみにビールを飲む。明日の予定など考えに浮かばない。至福の時間が流れていく。
太陽が傾き少し寒くなってきたので、テントの中に入り、夕食の準備にかかる。オクラを茹でて醤油とマヨネーズで食べる。ビールのつまみにちょうどいい。ジャガイモとタマネギを茹でて、パスタソースで絡めて食べる。これもいける。さて問題は炊飯だ。標高は2500mを越えている。不安は的中した。芯のあるご飯ができたので、明日の昼のチャーハンと朝の雑炊で誤魔化すことにする。それからパスタを茹でて食べると満腹になり横になるとそのまま眠ってしまったようだ。時計を見ると10時だ。これもいつものパターンで、のどが渇いたので温かい紅茶を入れて飲み、再びシュラフに潜り込んだ。よく眠れて5時過ぎに目が覚める。白菜入りの雑炊を朝食にし、チャーハンを作り昼食にする。
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2005_09_17 |