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2004_05_01 白倉山

 

白倉山(台高)2004年5月1日 No.266 じんじんさん、隊長

江馬木屋谷林道終点(8:55)〜(10:30)尾根(10:40)〜(11:20)ナンノ木平(11:40)〜標高点1226(11:35)〜撮影〜江股の頭(12:20)〜(12:45)標高点1226(13:20)〜(14:45)白倉山(15:02)〜標高点1226(16:17)〜ナンノ木平(16:38)〜林道終点(17:50)

アケボノツツジを求めて、江馬小屋谷から江股の頭経由で白倉山へ。稜線はアケボノツツジの花盛り。連休の初日だというのに、誰にも出会わず。


林道終点の空き地

じんじんさんとスメールで8:30に待ち合わせをして、1台の車で江馬小屋谷の林道終点に向かう。雪に阻まれ周回コースを断念したが1月のことだった。トレースをとるだけなら季節を問わないが、楽しみが多いのはやはり春と秋ということになる。蓮ダムから左岸を進み、先週も来ている宮の谷に向かう。対向車もなく、実に静かな山域だ。宮の谷分岐手前で江馬小屋谷林道に入る。案内がないのでわかりにくいが、宮の谷の手前で対岸に渡る橋はこれしかない。未舗装の林道で、水たまりのある石ころがころがるゴツゴツの道だ。岩壁を過ぎると林道の終点に到着する。車が数台駐車できる空き地があるが、この日は駐車場を独占できた。車を降りるなり、台高の自然の中に飛び込む。渓流の音や眩しいほどの新緑を見ると、一気に登山モードに切り替わる。

鉄橋を渡った左手に野営地がある。前夜泊の場合、利用価値は高そうだ。登山口には古びた登山届けのボックスがある。稜線までは基本的には尾根コースだ。尾根の末端は例に漏れず急に谷に落ち込んでおり、浸食の大きさをうかがい知ることができる。従った、いきなりの急登から始まる。日頃のストレスをせっせと備蓄してきているので、体調は良くない。ここの所は週末は好天が続き、週末には2山をこなしてきたので、肉体的な疲労もかなり溜まっていて、足がやたらと重い。天気が崩れる前の好天なので、気温も高い。樹木の中の急登なので、恐怖感はあまり無いが、ルートをよく観察すると、危険箇所も多いようだ。滑ったら木に掴まればいいと安易に考えるのは、登山者の独りよがりだろう。普通ならフィックスロープがありそうだが、このルートには全くなかった。樫の葉が登山道に積もり、よく滑るので、特に下山には注意が必要だ。ここで標高差200mを一気に稼ぐ。


チゴユリ

グイグイと高度を稼ぎ、植林の山腹道に入ると傾斜が緩くなる。地形図を見ると、山腹に入らずにそのまま尾根を通して歩いた方が良いように見えるのは登山者の視点だろう。しばらく山腹道を歩くと、植林のジグザグ道になる。標高差200mを稼ぐ。植林帯なので花は期待できないが、バイケイソウとトリカブトが小群落を作っていた。小屋跡の石垣の傍らには、見慣れない頑丈な檻が設置されている。しばらくは使ってなさそうだが、どうやら檻の中の板を踏むと扉が閉まる仕掛けになっている。もし人間が間違って入っても、内部から留め金を外せるようになっているようだ。


熊檻か? 檻の中の台を踏むと扉が閉まるようになっている

植林の急登を凌ぐと、明るいブナ、ヒメシャラ、ミズナラの雑木林の尾根に乗り、雰囲気が一変する。ここから標高差200mを登ることになるが、植林のジグザグ道の登りと比べると、随分と足が軽く感じられる。

この尾根を忠実に登っていくと一本の大きなミズナラの木に行き当たる。ここがナンノ木平だ。樹齢はおそらく数百年はあるだろうか。この台高の山奥でひっそりと数百年も暮らしていたのかと思うと、畏敬の念を感じずにはいられない。尾根の平坦地になっていて落ち着いた雰囲気あり、いくらでも時間を費やしてみたくなる場所でもある。


ナンノ木平のミズナラ

ここまで来ると稜線は近い。しばらく歩くと、こんもりとした丘になっている、標高点1226に到着する。ここを基点に江股の頭と白倉山を往復することになる。ナンノ木平から見え隠れしていたアケボノツツジが気になっていたので、休む時間を惜しむように、ザックを置いて江股の頭へ向かった。途中で尾根を北にそれて崖の縁に立つと絶好のビューポイントがあった。アケボノツツジは花付きもよく、ほぼ満開の状態だ。台高の主稜線とこれから向かう江股の頭がよく見える。たっぷりと時間をとって撮影に勤しむ。


アケボノツツジと台高の主稜線


江股の頭とアケボノツツジ

白倉山へ向かう稜線は、あまり踏まれて居ないようだ。古くなった目印テープが所々に見られるが、基本的には尾根筋をたどれば迷うこともないだろう。稜線の南側は切り立った岩壁が続き、何カ所かの岩場で南向きの展望が開けている。アケボノツツジは岩場を好むようで、切りたった岩壁にへばりつくように張り付いている。一方北面は傾斜が比較的緩やかで、張り出している尾根に入り込まないように注意したい。白倉までは2カ所ほどアップダウンを強いられるが、白倉が近づくと平坦で歩きやすくなる。


コキンバイ


花をつけ始めたツクバネソウ

アケボノツツジの他には、シロヤシオの老木とシャクナゲが目立った。シロヤシオは芽吹き始めた頃で、今年の花の具合はまだ確認できなかった。それにしてもシャクナゲは、鈴鹿のみならずここ台高も不作のようで、つぼみが2,3個見かけただけで、撮影する気も起こらなかった。ここ台高も数年前の大きな台風で、ヒメシャラ、ブナ、ミズナラの大木がなぎ倒されており、ぽっかりと空いた空間では、食物連絡試験場のように、ヒメシャラの幼木がびっしりと生え始めていた。

白倉への流線の岩場からは、古ケ丸山がよく見える。この角度から見る限りでは、山頂付近のアケボノツツジの密度はたいしたものだ。白倉から古ケ丸山経向かう稜線は、のこぎりのようになっている。池木屋山から東に分かれた台高の流線は、白倉山で分岐し、古ケ丸山を通過して宮川に落ちている。もう一方は迷岳を通過して櫛田川に落ちている。展望のよい白倉の山頂に立つとこの地形がよく分かる。


左が白倉山

白倉に到着したのが15時前だった。帰路に要する時間を引き去ると、ゆとりの時間がないことに気づく。今日は気温が高かったのでバテ気味だ。僅かな時間、木陰で横になると、すーっと体の力が抜けていって楽になった。これくらいの距離なら大丈夫だろうと思ったが、想像以上に体に疲労が溜まって居たのだろう。さて、重い腰を上げて帰路についた。


白倉山頂から迷岳

 

 

2004_04_03