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2004_04_25 池木屋山

 

池木屋山(台高)2004年4月25日(日)No.264 隊長、うさぎ

宮の谷コースは、三重県内の一般登山道では、難易度は大杉谷と並び、上位にランクされる。ここ半年間に3人もの犠牲者を出しているだけに、課題の多いコースである。事故はいずれも高滝の高巻で発生している。しっかりとしたフィックスロープが設置されているので、簡単な方法でもいいのでセルフビレイをとり、リスクを回避したいところだ。国体でも使われた大変魅力あるコースだけに、日頃から鍛錬し安全で楽しい山歩きをしたい。今は1100m付近でアケボノツツジが見頃を迎えている。

宮の滝駐車場(9:05)〜風折滝分岐(10:02)〜いわざくら撮影〜高滝下(10:46)〜ドッサリ滝(11:30)〜(12:03)二股(12:13)〜(13:55)池木屋山(15:04)〜二股(15:49)〜高滝下(16:49)〜駐車場(17:42)

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池木屋山は、三重県内で最も山深い所にある山だ。と書いてしまうと、反論もあるだろうが、分県登山ガイド「三重県の山」で、星を三つつけてもいい山は、大杉谷とこの池木屋山はかならずランクインすると思う。三重県側から日替えりで山頂を往復する場合、宮の谷から入山するのが一般的であるが、体力、技術ともに高いレベルが要求され、これに比例するように、当然危険度も高くなる。一度歩いてみると、実感できると思うが、確かな手応えを感じさせる山である。


蓮ダムの貯水池

コースガイドなら、親切丁寧な本が何冊も出ているので、そちらに出番を譲ることになるが、山は登るたびに感じ方も違うものだと思う。同じ山の同じコースを登っても、毎回のように書こうと思うのは、山行に対する自分の受け止め方が、毎回違うからだと思う。
 事故の直後だけに少し気持ちが引き気味である。義務でなければ、パスをしていたところだが、花は待ってくれない。しかし、安全が第一であるし、安全は心のゆとりを生み出してくれることもわかっている。ましてや、その気持ちが撮影に影響することなどは、百も承知だ。それで、セルフビレイをとるために必要なツールをザックに入れた。

 宮の谷の登山口までは自宅から100kmほどあり、伊勢自動車道を利用しても約2時間ほどかかる。実はこの2時間は、山に対する心のアプローチの時間だと思っている。花のポイント、咲き具合、撮影方法、危険箇所の通過、ペース配分などなど、色々と考えることがある。蓮ダムで車を降りてみる。実に静かな朝だ。朝日をうけて輝く新緑が眩しい。
 林道終点の登山口到着すると、駐車スペースは車でいっぱいだった。といっても、車の数は数台だ。他県ナンバーが目立つ。遠くの人は前夜泊しれいるだろうから、朝の出発は早い。われわれは、おそらく最後尾だろう。日が長くなってきたので、前回のように時間と競争しながら、駆け足で下山することはないだろうが、往復には最低でも8時間は欲しいところだ。時計を見るとすでに9時を過ぎている、撮影に時間が欲しいし、稜線も少し散策も予定しているので、あまり時間にゆとりがない。

昨日は3時間ほど歩いているので、体は軽く感じられるが、若干足の筋肉に疲労が残っているようだ。この宮の谷は、三重県内では、大杉谷と並び、最もよく整備された渓谷だと思う。高滝までは実に快適なハイキングコースで、鉄の橋や階段、桟橋などに助けられ、約1時間で到着する。途中何度か、足下に落ちたアケボノツツジが気になり上を見上げるが、渓谷が深いだけに手の届かぬ高いところで咲き誇っている。アケボノツツジは稜線にあるだろうから、楽しみはそれまでお預けにして、イワザクラを探すことにする。


アケボノツツジ

生育環境はよくわかっているので、それらしき場所を探すが見つからない。定位置にはあるだろうと、風折れの滝の分岐を過ぎて岩場を見上げると、岩壁に咲くイワザクラを発見。しかし手の届くところには咲いていないので、撮影はほとんど不可能だ。ザイルは持っているが、上から懸垂下降するには長さが足りないし、時間もないので、次回の課題として残った。


イワザクラ


高滝

さて、ハイキング気分はここまでだ。スワミベルトを締めた瞬間に気合いが入る。これから30分は気の抜けない領域だ。気持ちが弱くなると、いやな感じのする所だと感じるだろう。登山の経験がある程度豊かになると、どこが危険であるか、ある程度は把握できるようになる。何とかなるだろうという気持ち、この気持ちが最も危険だと思う。手間はかかるが、安全確保は積極的になろう。

 

 

2004_04_03