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大熊谷の頭(台高)2004年1月25日

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大熊谷の頭(白倉山に行きたかった)2004年1月25日 No.248 じんじん、隊長

庵の谷林道標高450m付近の駐車(9:43)〜(11:30)林道終点960m(11:35)〜標高点1011(11:50)〜(12:49)大熊谷の頭(13:50)〜標高点1011(14:19)〜林道終点960m(14:26)〜尾根をそのまま降下〜江馬小屋谷出合の河原(橋の所)標高350m(15:53)江馬小屋谷林道終点標高430m(16:16)

敗因その一:じんじんさんがパジェロでなかったこと
敗因その二:スノーシューはいらないと、隊長が判断したこと

以上、報告終わり!といきたいところですが、このまま終わると読者の皆様に失礼なので、帰りにバリエーションをしてきました。

本日のトレースです

 天気よし!予定の時間にスメールでじんじんさんと待ち合わせる。お互いが少し早い目に到着し、本日のコースを確認する。あれ!じんじんさんパジェロでないの!パジェロがスノータイヤを履いていないので。いやな予感!
 当初は白倉をピストンのつもりだったが、欲を出して白倉、江股の頭の周回コースに変更。冬場は時間がかかるが、積雪量があまりないこと、気温が低く雪がしまっていることなどが予測されるので、途中敗退も覚悟で車一台を江股小屋谷林道終点にデポする。できれば私の車(4WD)で大熊谷林道を上がった方がいいが、帰りは乗用車で回収に行くことになる。つまり、どちらの車も大熊谷林道終点(標高960m地点)まで上がらなければならない。結果として、じんじんさんの車で行けるところまで行くことに。問題のゲートは高さが190センチくらいあるので難なくクリアーできるが、大熊谷林道は予想以上にガチガチに凍結している。スノータイヤを履いているが少し勾配がきつくなるともう登らない。標高450m地点で車を降りて歩くことにした。登山道入り口までには標高差が500mあり、普通なら1時間15分でつける計算になる。1時間のロスタイムなので、まだ周回コースに希望は持てそうだ。


林道から見る三峰山

 1時間以上林道を歩くが先はまだまだ遠そうだ。しかもこの時点で積雪が20センチ以上あり、思うように進まなくなってきた。林道が日陰に回り込むところでは、ほとんどラッセルの状態になってきた。なんで林道でラッセルせなあかんのか!もうほとんど稜線歩きと変わらない。この時点でスノーシューを置いてきたことを悔やむ。林道は大熊谷の頭から北西に張り出している尾根と合流するところまで続いているようだ。伐採地では展望が開け、雪をいただいた三峰山が青空のキャンパスに良く映えている。標高が上がるにつれて気温も下がり、標高900m地点で氷点下に。だけどラッセルのために汗が噴き出してくる。結局、林道終点まで約2時間かかったことになる。

 さて一息入れてここからは鹿除けネットに沿って進むことになる。トレースなどあるはずもなく、足を取られながら進む。しばらくは人工林だが、やがて右手が自然林に代わり、登山道も明るくなってくる。


標高点1011から見る桧塚

標高点1011からは桧塚がよく見えている。ひとつ向こうが台高の主稜線で、来週歩こうとしている、明神から池小屋山までが見渡せる。天上は青空だが、山の向こうから山肌をなめるような雲がかぶってきている。


稜線のブナ

人工林が消えると、痩せ尾根の自然林になり、大変雰囲気がよくなってくる。しかし、積雪にラッセルを余儀なくされ、時間ばかりかかって思うように進まない。白倉山のはずが、大熊谷の頭までのピストンがやっとの時間になってきた。この時点で、目的地を迷うことなく大熊谷の頭に変更した。時折南側の谷をのぞき込むが、傾斜がきつそうだ。もしも、滑落したら雪を滑って、谷までノンストップだろうと。


シロヤシオの老木


大熊谷の頭

スノーシューを持ってこなかったことを大いに反省しながら、やっとの思いで大熊谷の頭に到着した。白倉山が遙か遠くに見えている。この積雪では、距離1キロ、標高差150mのアップダウンを往復するには最低でも4時間はほしいところだ。可能かどうか計算するまでもない。風が出て雪もちらついてきているが、それほど冷え込まず、気温はマイナス3度くらいだ。急ぐこともなくなったので、ゆっくりと昼食をとることにする。やはり厳冬期はガソリンストーブが頼もしい。最近のガスが多少冷え込んでも火力が得られるが、私の場合は冬場はガソリンに決めている。MSRに買い換えて火力、騒音ともに合格点だ。

 
大熊の頭ではいポーズ

 下山時の休憩でホットコーヒーでも飲もうとお湯を沸かしテルモスに入れる。荷物を片づけようとザックの傍らにテルモスを置いた、そのとき!愛用のテルモスが凍てついた雪面を滑り出した。あれよあれよと谷底に滑落。時間の2乗に比例して加速するので、猛烈な速度で谷底に落ちていった。今春の雪解けとともに発見されることでしょう。しかし滑落の恐ろしさを改めて実感した。転倒時に体が止まらないと、2秒後には速度が4倍になるので、止まるはずがない。


大熊の頭のブナ


敗退 背中に悔しさが滲む

たっぷりと休憩し少し体も冷えてきたので重い腰を上げて来た道を戻ることにする。しかし、このまま林道をとぼとぼと帰ったのでは、まったく芸がない。地形図を広げ、早くかえる方法を見いだそうとするが、この尾根を一直線に下るしかルートはなさそうだ。江馬小屋谷の出合(駐車地点)に落ちる尾根もあるが末端が切り立った崖縁になっていて、うかつに下ると大変危険だ。しかしこの尾根の南面は末端がすべて岸壁のようになっている。林道終点からは植林帯に入り古びた赤テープがある。積雪のために踏み跡は確認できないが、普段から歩かれている雰囲気ではない。標高差は約600mある。支所の傾斜は緩やかだが地形図では900mから700mまでの傾斜がかなりきつそうだ。案の定、急降下が始まった。雪があるので気に掴まりながら慎重に下る。後ろを見上げると、登りには使いたくないと思わせる傾斜だ。だけど登りに方が遙かに安全だ。このあたりは南斜面が自然林になっているので明るい雰囲気がある。植林ができないほどの傾斜のようだ。標高点643付近で傾斜が緩やかになる。最初は直進しようとしたが、尾根の末端の様子が不安だ。岸壁なら川には降りられず悪路のトラバースが待っている。少し戻って杉の赤ペンキをたどることに。この赤ペンキが登山道の印とは限らない。地形図を見るとこの谷を降下するのが傾斜から見て得策のようだ。河原に降りられるかどうかが心配だが、このを降りるしかない。鹿が走った。やがて川の音が聞こえ、何とか河原に降りることができた。どんぴしゃ、江馬小屋谷へ入る橋の所だった。


どんぴしゃ、河原の橋の所に降りた

江馬小屋谷の出合まで歩いて戻り、じんじんさんの車の回収に向かった。


滝も凍る


この橋を渡って帰ってきたかった

 

2004_1_25