御所平(鈴鹿)2003年12月2日
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■御所平(鈴鹿)2003年12月2日 No.238 隊長
石水渓口から西に1キロほど進むと第二名神の目立つ橋脚が見えてくる。大きな案内板を見印に農道に入るとすぐに隣村の坂本に続く東海自然歩道が分岐する。この二股を左にとり、鬼が牙の迫力ある岩峰を正面に見ながら茶畑の中を通って林道に入る。
乗用車の通過する車幅は問題ないが、路面が削れたところが何カ所かあり、下手をすると車の腹をすることになる。無理をすれば林道の終点まで入ることができるが、大堰堤を過ぎると道幅も狭くなり、谷川が削れて痩せているところがあるので、乗用車は大堰堤の所までにと考えた方がよい。大堰堤の所には何台か駐車できるスペースがある。捨てられた車が景観を損ねているのが残念だ。しかし、谷を高巻く山腹を縫う林道歩きは、対岸に鬼が牙の岩峰が眼前に迫り、大変迫力のある景観を楽しませくれる。また鋭く切れ込んだ渓谷にはいくつもの滝がかかり、のぞき込むと足がすくむほどの高度感がある。谷の沢音を聞きながら歩くと約30分で林道の終点に到着する。ここで葺谷コースと白谷コースが分岐している。葺谷コースの入り口は、林道脇の白谷を渡渉したところにある。この谷は葺谷(ふきたに)と呼ぶらしいが、某社のエアリアマップには、ガンサ谷と明記されている。さてどちらが正しいのか?さて、本日はどう周回するかまだ決めてなかったが、素直に道なりに進むことにした。つまり御所谷を登りに使うことになる。御所谷は良く踏まれている谷なので下山に使うべきだろうと予測できたが!
林道終点から道なりに少し進むと廃屋になった営林署小屋に出る。小屋の裏手で白谷を渡渉し右岸に出る。ここで何を間違ったのか、左岸をそのまま進んでしまい、山腹の急斜面を喘ぎながら高巻いて元に戻る始末。あー情けない。気を取り直して右岸を快調に進む。しばらくして左岸に渡渉後、谷を高巻くと岩場の鎖場がある。ステンレス製の鎖が真新しく感じる。鎖場は高度感があり、ちょっと大袈裟ではあるが、アルプスに来たかと錯覚しそう。登山道は引き続き左岸の山腹を進むが、何カ所か崩壊地があり、丸太橋がかかっている。谷が大きく左に蛇行する手前では、山腹が崩れ木の梯子で一旦谷に降り再び木の梯子を登る箇所がある。鈴鹿南部は花崗岩が脆く崩壊地が多いが、このルートは良く整備されているようだ。
一息入れようかと思う頃に御所谷コース分岐点に到着する。指導票もしっかりとしているので方向を間違えることはないだろう。白谷コースに比べるとあまり歩かれていないのだろうか、上流に行くにつれて目印テープも少なくなる。しかし、紛らわしい枝沢の分岐あたりは目印テープに助けられることになる。
分岐点からは谷左岸を大きく高巻くが、途中に崩壊地があるので慎重に通過する。これを過ぎて谷の右岸に移りしばらく進むと、落差のある御所滝に出あう。 この滝を左から巻き左岸に出ると美しいナメ滝がある。このあたりまで来ると自然林も多く葉が落ちて明るい雰囲気になるが、踏み跡は薄く、沢を渡るたびに目印を見失いがちになる。しかし、谷は徐々に狭くなり、枝沢に迷い込まなければルートをはずすことはないだろう。沢は枯れずに稜線近くまで水が流れている。テント山行の場合、どの谷のどのあたりから水があるかが関心事になる。稜線近くまで来ると谷が分かれているので、左の谷に入る。傾斜が徐々に増し、ガレた沢を登っていくとやがて稜線に乗る。予報通り風がきついのでウインドブレーカーを着る。
しかし実によい眺めである。仙ケ岳もこの角度から見ると別の山に思える。鈴鹿の主稜線を目で追っていくと鈴鹿を代表する山がずらっと北に向かって並んでいる。なかなか壮観な眺めだ。 多少のアップダウンは有るが稜線は大変歩きやすい。やはり気になるのは仙ケ岳で、刻一刻と変化する構図を気にしながら南端を目指す。時計を見ると12時を過ぎているので、なぜ裏の日だまりで、伊勢湾を眺めながら昼食休憩にした。 第二名神の橋脚がよく見える。確か林道入り口は橋脚の所だったから、鈴鹿の山の中では標高こそないが、山深い所だ。
南端からは土山方面がよく見える。ここからは薄暗い植林帯を急降下する。ガレ場に出ると三差路になっている。フナイシからベンケイという手もあるが、車を奥まで入れたのと、葺谷が降りてみたかったので、次回ということにした。ガレ場からは小尾根の急降下だ。標高差100mほどを急降下し鞍部から谷へ降りる。目印が薄いのであてにならず、自分なりのルートで下る。あまり踏まれていない荒れた登山道である。林道終点までは約1時間15分で到着したが、何カ所か要注意ポイントがあった。下流に行くにつれて谷が深くなり、痩せた山腹道やら、切れかけの固定ロープなどがある。極めつけはこの三段重ねの丸太橋だ。朽ちたから新しいのを上から設置したようだが、ゆっくりと体重をかけて、強度を確かめてから渡った方がよさそうだ。下を見ると谷が深く、上を見ると巻けそうにない急斜面だ。この丸太橋がこのルートの生命線なら、紹介するのをためらってしまう。
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2003_12_2 |