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釈迦ケ岳2003年8月29日

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仙ケ岳、宮指路岳(鈴鹿)2003年8月29日 No.222 隊長

 この時期、気になるのは台風だが、今年は前線の位置を気にしなければならない。山の写真は天気次第なのはわかっているが、まずはすかっと晴れてくれないと、どうにもならない。夏季休暇がまだ未消化なので、少しでもいい条件の日にと、仙ケ岳と宮指路岳をやることにした。

 鈴鹿は低山だが、夏場に稜線歩きを挟むと、結構手ごたえのあるコースになる。鎌尾根、釈迦、そして今回の仙ケ岳、宮指路岳はいずれも稜線歩きの入っているコース設定だ。距離にするとどれも10キロ前後あり、累積標高差も1000mを越えている。アルプスの一日の平均値と比べても見劣りしないだろう。気温の高さを加味すると、アルプス以上かもしれない。

 今日は平日なので山の家の駐車場は一台も車が停まっていなかった。ゲートは開いていたのでそのまま大石橋まで乗り入れる。ここを歩けば、往復で4,50分はかかるので、コースタイムにプラスしておかないといけない。春や秋のようにさっさと歩けるならいいが、この暑さではなかなかいいタイムは出せない。小社峠から宮指路岳までのアップダウンのある稜線歩きに備えて、セーブしながら歩き始める。大石橋から少し上がったところの駐車エリアは貸し切り状態だ。ここのゲートはいつも閉まっているが、今日は開いていた。車で乗り入れても、帰りが大石橋なので入る意味がない。30分林道を歩く。汗が噴く出してきた。この時期は花は期待しないが、林道脇にはたくさんマツカゼソウが咲いていた。それとクサギの花の香りがいい。林道の終点が登山口になっていて、右手に大きな堰堤がある。今年はよく雨が降るので水量も豊かだ。夏場の鈴鹿では、水のあるところにはヤマヒルがいるが、さてきょうはどうでしょう。


ヤマジノホトトギス

 瀬音を聞きながら杉林の登山道を歩くのも悪くはない。気温は結構高くなっているだろうが、今日は風があるので助かる。それに今日は西の風が入っているので、少しさわやかに感じる。このコースは2年ぶりのような気がするが、進むにつれて記憶がよみがえってくる。しばらく進むと、仙鶏尾根への分岐点がある。たしかこの前はここを仙鶏尾根に上がったなと思いつつ、今回は小社峠までのトレースという目的があるので、まっすぐ進む。GPSの感度を気にしながら、要所でポイントを打っていく。地形図ではアライ谷の分岐から先のルートが記されていないので、今回のトレースは大切だ。


アライ谷分岐

 やはり今日も水辺が恋しい。石に腰掛け、瀬音を聞きながら、谷を上がってくる風に身を任せていると、なんとも心地よい。このままずっといたいが、朝の出発が遅かったので、時間にゆとりがない。何度か徒渉を繰り返し、瀬音が聞こえなくなったら峠は近い。最後の登りはぐいっとあがるので、汗が噴出してきた。前方が明るくなってくると峠に到着する。風がよく通っているので、少しの休憩でまた元気が出てきた。さてここからは稜線歩きだと思うと、話が違うことになる。登りの続きだと思うと納得がいく。標高差は160mほどあり、傾斜もきつい。笹が出だすと山頂は近い。よく刈り込まれているので大変歩きやすい。感謝!感謝!

空気の透明度が低く写真には適さないが、展望は楽しめる。ちょうど昼になったので、石の上に腰掛けて、カレーパンを一個食べる。これで本日の昼食は終わり。粗食ではあるが、ここへ来た目的がはっきりしているので、昼食に時間を使いたくない。ザックをデポし、東峰へ向かう。標高差は60mほどだが、視覚的にはもっとあるように思える。荷物はカメラだけだが、足は重い。


仙ケ岳南尾根

白谷の分岐点を確認する。中央にひとつと東峰近くのもう一つある。中央の分岐では、アライ谷への踏み跡が薄れている。東峰の岩場に立つ。仙の石を中心に色々と構図を変えてみる。足下に目をやると建設中の第二名神の橋脚が一直線に伸び、どこまで工事が進んでいるか一目瞭然だ。野登山はこの位置からだと順光なのでよく見える。

 撮影を済ませ、西峰に戻る。さてここからだ、第2ステージということになる。宮指路までの稜線は過去に一度だけ歩いているが、痩尾根で険しかった印象が残っている。晴れ間を狙って撮影したいので、雲が行き過ぎるのを待たなければならず、これによるタイムロスを考慮すると、2時間はかかるとみた。現在の時刻が13:20分だから、宮指路周辺の撮影を済ませて下山すると17:30になる。撮らぬたぬきの皮算用はやめて、とにかく小社まで戻り、1番目のピークまで行きたい。

 下りは楽だが、左足にまだ大きな衝撃がかけられないので、登りと同じくらいの速度しか出せないのが辛いところだ。故障前なら走って降ることができたが、今は左足を支点にして、右足から降りるスタイルがここ半年続いている。バランスが悪いので、疲れ方も大きい。小社峠を素通りして1番目のピークまでの登り返しにかかる。14時もなると、気温がその日の最高点に達する時間でもあり、ピークまで上がると一気にスタミナを消費したようだ。展望のよいところで、645mと35mで撮影にかかる。しかし、なかなか雲が切れてくれない。この位置からだと構図はほしいままにできるが、肝心の光が思うようにならない。このままだと無駄に時間が過ぎていくので、次のピークでチャンスを待つことにする。


ホツツジ


イワギボウシ

きょうは西風があるので、稜線歩きもなかなか気分がいい。鈴鹿の稜線はどこもそうだが、三重県側はすぱっと切れているところが多いので、足下には注意したい。花はないと思っていたが、岩場にはたくさんイワギボウシが咲いていた。シロヤシオ、シャクナゲは思っていたほどないようだ。


三体仏岩と東海展望

 2番目のピークを勝負をかける。この位置からが アライ谷をはさみ、三体仏岩と東海展望にもっとも近い。雲の切れるのを待って撮影する。

 


チャツボケ岩と犬帰りの険

犬帰りの険の手前のチャツボケ岩の上からの眺めが、このコースの核心部分だろう。仙ケ岳に続く稜線、三体仏周辺の岩場、宮指路岳など、被写体に事欠かない。ただ、空気の透明度が低いのが悔やまれる。紅葉の時期にもう一度チャンスがあるが、ひとつしかない体をどの山域に回すかが、今後の課題だ。


チャツボケ岩から東海展望


チャツボケ岩から稜線と仙ケ岳


三体仏岩と東海展望


この直下まで林道工事が進んでいる

 犬帰りの険周辺は遠くから見るとかなり険しそうだが、ルートさえしっかりとたどれば問題はない。ただ風化は思った以上に進んでいて、岩はぼろぼろになっているので、上り下りに岩に捉まって身を預けるのは止めたほうがよい。たとえ岩でも、まずは疑ってみること。


正面が宮指路岳、左上が展望岩と馬乗り岩、手前のガレ馬を登る

 


宮指路への最後のガレ場を登る

 傾斜はかなりきつい。しっかりとした岩の吟味が必要だ。複数なら落石にはくれぐれも注意したい。一気に標高差100mを登る。宮指路には15:40分に到着した。予定よりも20分遅れている。周辺の撮影を慌ただしく済ませ、帰路につく。途中何度か撮影ポイントで撮影を済ませるが、15時を過ぎると斜陽光のために写真の質が落ちる。


東海展望から仙ケ岳

 東海展望を後にしたのが16:10。ヤケギ谷を下る。早く降りたいが、早く歩けないので歯がゆい。道が沢伝いになると、マムシをちらほら見かけるようになってきた。薄暗くなってきているので要注意だ。どうやら岩場に居るようだ。不用意に岩に手をかけると危険だ。岩場にさしかかると砂を蹴ってかけてやるとごそごそ動くのでわかる。1匹だけならいいが、2,3匹と出会うと、もうこれは岩場には必ず居ると見ていい。世の中で一番嫌いなものが次から次へと出てくるので、心中穏やかではない。立ち止まると今度はアブと蚊がまとわりついてくる。これでヤマヒルが出てくると、いやなものが全部そろうことになる。期待通り標高700m付近からのカレ沢で待って居てくれた。水を飲もうとザックを降ろすと、2,3匹はい上がってきている。立ち止まるとアブと蚊が攻めてくる。危(アブ)ない。あー、これが鈴鹿の夏だ。

17:30、やっと車まで帰ってきた。こんなに楽しかったのに、だれにも会わなかったなんて、信じられない。ヒルに食われた背中がかゆくなってきたので、このへんでおしまいにしよう。

 

2003_08_29