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藤原岳(鈴鹿) 2003年3月21日(祝)

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藤原岳(鈴鹿)2003年3月21日(祝)No.203 隊長

青川林道駐車場(11:07)−日之丘稲荷(11:42)−中尾地蔵(12:20)−治田峠(12:51)−蛇谷分岐(13:31)−(14:03)孫田尾根(14:35)−P965(14:55)−蛇谷分岐(15:30)ー青川林道駐車場(17:05)

 久しぶりに治田峠に足が向いた。過去の記録を調べるとなんと4年ぶりらしい。鉱山に関する史実、廃村茨川へのルートと興味をそそる山域なので、過去に何度か使ったルートであるが、決してメジャーなルートとはいえない。峠から北に進むと藤原岳、南に進むと銚子岳、静ヶ岳があるが、わざわざこの峠を使わなくても日帰りできるメジャーなルートがあるだけに入山者も少ない。今日は誰にも会わなかった。


日之岡稲荷が新しくなったので、案内も立派である

 朝起きると8時である。またまた遅刻だ。しかも夕べの宴会で飲み過ぎて頭の芯がいたい。今日は美杉の修験業山を予定していたが、家から登山口までの往復を考えると時すでに遅し。このままもう少し休みたいところだが、あまりの好天につられた、ごそごそと準備を始めた。時間的なは鈴鹿に山域が限定されてしまったが、福寿草が盛りを迎えているので、思いは藤原へ。しかし、いつものコースを行くのも能がない。ひっそりと花を楽しんでやろうという下心から、反対側から藤原を目指すことにする。

 国道306号線から新町に入りしばらく進むと、噂には聞いていたがスケールの非常に大きなオートキャンプ場ができていた。青川林道に進もうとするとなんとゲートがある。結果的にはこのゲートは通過する必要もなかったのだが、この先有料と勘違いしてボタンを押して駐車券をとり場内に入ってしまったが、間違いに気づいてすぐにノーチェックで出口デートから出た。鈴鹿山麓にこれだけのキャンプ施設はなかったので、この施設をどう捕らえていいのやら戸惑うばかりである。昔々の江戸時代、全国でも屈指の銅山を擁したこの地にはたくさんの鉱夫が就労していた史実があるが、そのころの賑わいはどうだったのだろうかと興味が湧いてくる。

 青川林道の駐車場には2,3台の車が停まっていた。準備を済ませ河原に降りるとダンコウバイの黄色に春の暖かさを感じ、藤原の福寿草に期待が膨らむ。しかし河原には鹿の死骸が異臭を放っていた。雪解けの頃にたまに見かける光景だ。いきなりの渡渉 ポイントだが、三本の丸太橋がありがたい。オートキャンプ場ができたので、稲荷も丸太橋も新しくなっている。

 石積の砂防堤を越えると広河原である。小春日和といってもいいくらいの好天で、広々とした河原に出ると実に開放的になる。正面に見えるのは銚子ケ岳だろうか。この河原を過ぎると徐々に谷が狭まり、渓谷らしくなってくる。雪解けのために水量は豊富だが、要所には丸太橋や鎖が設置されているので困ることもないだろう。


久しぶりに素堀のトンネルを通ることになるが、随分と出入り口が埋まったように感じる。簡単に巻くことができるならトンネルは必要ないだろうが、人力で掘られたトンネルはいつまでも使わせてもらいたいと思う。トンネル手前の平地には昔、女郎屋があったらしいが、今ではその形跡すら残っていない。


日之岡稲荷

 確か四年前は朽ち果てていた稲荷だが、これも新しくなっている。「徳川幕府統治時代、金銀銅鉱の算出で隆盛を極めた治田鉱山において此の地に鉱山事務所を置き当時千人ほどの下財と呼ばれる坑夫達が食べ物を司る神宇迦之御魂神を祭神とし信仰した」の案内がある。
 桧の大木のある広場まで来ると治田峠への急な登りが始まる。今までのペースで登ろうとするので、すぐに息が切れてしまう。中尾地蔵までの登りが大変だ。これを過ぎると徐々に登山道も明るくなり、所々の残雪はあるがいたって歩きやすくなる。笹が出始めると治田峠は近い。


中尾地蔵


治田峠


治田峠付近から見る藤原展望丘と天狗岩

 稜線に出てしまえば多少のアップダウンはあるものの約1時間でP965まで行ける。昨年の春に登りついた迷い尾根、蛇谷分岐など現在位置を確認しながらP965付近を目指した。足下には注意して歩いたつもりだが花は全くない。やはり藤原岳までいかないと駄目なようだ。これより先は鉱山なので立ち入り禁止の倒れた看板からP965の南斜面を通り、孫太尾根に乗ることにする。赤テープはあるが踏み跡も消えかかっていて、殆ど歩かれていないようだ。このあたりも少しは福寿草を期待したがまったく何もない。孫太尾根の丸山から草木にかけては福寿草やら節分草があるので、何かあるだろうと期待したが、全くの期待はずれに終わってしまった。

 孫太尾根で遅い昼食休憩にする。風もなく実に穏やかだが、採掘現場の機械の音が耳障りだ。ここからは採掘現場が丸見えである。もう少しゆっくりとしたかったが、時間がなくなってきた。しかしこのあたりを散策する時間がほしいので、孫尾根から青川への急降下を地形図を見ながら検討したが、地形が複雑であり、傾斜もきつそうなので断念した。となると下山にかかる2時間を引き算するとP965へ登り返してタイムアップになる。


p965付近

 p965付近のロケーションは最高である。ここに花があったら申し分ないが、福寿草の咲く土壌ではなさそうだ。稜線を少し藤原岳の方に歩いてみたが、3時を過ぎてしまったので反転して帰路についた。蛇谷分岐まで来ると藤原岳あたりでヘリの音が聞こえている。TV局の取材かなと思ったが、7合目付近で中年女性の転倒骨折事故があり、県警の防災ヘリが救助に来たことが後でわかった。滑って転んで尻餅を着くならいいが、足首をひねるとやっかいなことになる。特に単独で人がいないところに行くときは注意が必要だ。これわたしのこと。予定通り17時過ぎに下山完了。

 

2003_03_2