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明神岳、桧塚奥峰、桧塚(台高) 2003年3月9日(日)

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明神岳、桧塚奥峰、桧塚(台高)2003年3月9日(日)No.201 隊長

登山口(9:50)−ワサビ谷(10:16)−奥山谷P965(10:55)−(12:40)明神平(13:20)−明神岳(13:50)−桧塚奥峰(14:50)−桧塚(15:16)−駐車場(16:20)

今回はどの山域に入るか迷ったが、この寒波で花はあきらめがついたので冬山の撮影に切り替えた。明神か三峰か、どちらかにしようと昨晩に地形図を二つ準備した。朝家を出ると鈴鹿の山が真っ白に雪化粧をして手招きしているではないか。いとも簡単に意志が揺らいだが、人には意地という感情がある。それで迷わずに国道を南に向かう。しかし、津市内に入ったところで、夕べ準備した地形図を忘れたことに気づき、意志が揺らいできた。明神から桧塚奥峰までは台地状になっていて稜線がはっきりとしない。吹雪かれると目印も踏跡も頼りにはできなくなる。などなど、不安な要素があるので引き返すことも考えたが、昨年の秋に同じコースを歩いているので何とかなるだろうと判断し高速に乗る。高速に乗ると今度は今まで忘れたことがない、携帯を忘れたことに気づく。これが二つ目のミスだ。

道路は問題なく予定通り登山口に到着する。登山者のものらしき車が3台泊まっていた。この千秋林道は途中から未舗装になり、路面の状態はあまりよくない。落石も所々にあり、乗用車ではちょっと辛いところだ。マナコ谷登山口付近にはまとまった駐車スペースはないが、所々に2,3台のスペースがある。ここの車を停めて、木屋谷登山口まで歩く。ここの駐車スペースは3台分だ。1台車が停まっていた。橋の下で渓流つりをしている釣り人の車らしい。先週から解禁になったようで、所々で釣り人を見かけた。小生も釣りは大好きであったが、最近はさっぱりである。

植林のジグザグを上がると、後は木屋谷川右岸を谷沿いに進む。入山者がすくないようで、道は荒れているので注意が必要だ。気温が低く残雪が凍り付いて滑りやすくなっている。ここで足を滑らせると、水量の豊富な谷底まで数十メートルを一直線に滑落し、先ほどの釣り人に通報してもらうことになりそうだ。


ワサビ谷

 ミス二つで出鼻をくじかれたせいか、つまらないことばかりを考えてします。ワサビ谷の木の梯子がガチガチの氷った雪に押しつぶされそうだ。ここでアイゼンが必要になるが、何とかクリアーし徒渉ポイントを探す。木屋谷を高巻いて造林木屋に至るが、老朽化していた小屋は倒壊していた。ここからの下りは油断大敵のため、アイゼンを装着し、慎重に奥山谷出合に降りた。要所にはフィックスロープがあるが、凍り付いていて木の枝のようになっている。


奥山谷出合

奥山谷は概ね左岸を進む。踏跡が少ないので、凍り付いた雪面の傾斜を進むことになる。もはやアイゼンなしでは難しくなってきた。6本つめの軽アイゼンを最大限に生かす。こんなことなら、12本爪アイゼンとピッケルがあったほうが安心できる。道具は使いようだが、持ってないと使えない。

目印も雪に隠れ頼りにならないので、自分なりにルートを探り、谷を詰めていく。氷と雪でなかなかペースが上がらない。標高差はあまりないが、随分と時間を浪費してしまった。谷を離れ明神平への登りにかかる。ここがちょっと辛いが、確実に高度を稼げる登りだ。踏跡は全くないが源頭の雰囲気の雰囲気を感じながら明神平の登り着く。手つかずのブナ林は圧巻である。林の中で5人グループが楽しそうに昼食をとっていた。裏道は誰にも会わなかったが、台高で言えばここは銀座になるところだ。風がきついので、何人かの登山者が木屋の風裏で昼食休憩をしているようだ。吐く息は真っ白になり、手袋を外すと急に手先が冷たくなってくる。温度計を見ると氷点下5度だ。


明神平

明神平は奈良県側からガスが駆け抜けていく。薄日が差すのを狙ってシャッターを切るが青空は望めそうになり。温かいラーメンで少しは体が温まるが冷えるのも早い。一時間くらいは贅沢な時間をむさぼりたいが早々に越を上げて明神岳に向かう。標高差は約100mのなだらかな登りなので適度の体が温まり快適だ。白一色のブナ林の悪くはない。早春の雰囲気のあるブナ林をカメラに納めたかったが、季節は厳冬期にタイムスリップしたようだ。

さすがにこれだけ天候が厳しくなると、台高の銀座通りも人が少ない。こんな時こそ感じるままに台高を激写したいが、ガスと風雪で光が遮断されている。写真は光と陰のゲイジュツだから、光がなければ陰に頼るしかない。


明神岳(穂高明神)

体が少し暖まったころに明神岳に到着した。緩やかなピークなので、案内がないとここが山頂とは誰も思わないだろう。地形図では「穂高明神」となっているが、この名のいわれはいかに。この日は縦走路をもう少し南下してみたかったが、案の定時間がなくなったので、進路を桧塚にとる。目印と踏跡は雪に隠されているので、確かなルートファインディングが要求される。尾根の下りはまずは疑うべし!やはりミスをした。地形図があれば回避できたはずだ。このあたりはすべてブナの林になっている。標高差で50mほど下り、間違いに気づき登り返した。


桧塚への登り

桧塚への緩い登りの途中で数人のグループとすれ違った。どのルートから来たのかわからないが、「よくもこんな日に」と思われるのは、単独で歩いているこちらの方かもしれない。


桧塚奥峰横の展望

 前回はガスのために何も見えなかった桧塚奥峰だが、今回はかろうじて視界が確保できている。しかし気温は相変わらず上がらず、氷点下5度を保っている。ペットボトルのダカラが、シャーベット状になり、もうしばらくすると凍り付いてしまいそうだ。


桧塚への稜線

 このあたりの地形は高原状で、緩やかな丘がいくつも続いている。ミヤコザサとブナ林が大半を占めていて、所々でシロヤシオの古木、巨木が目につく。鈴鹿あたりでは900m付近にブナが多いが、ここは鈴鹿に比べると緯度が南に下がるので、標高1400m付近がブナの適地なのだろうか。しかし数は多いが、樹高はあまり高くないのが特徴か。

 まだ少し時間にゆとりがあるので展望のない桧塚まで往復する。鹿が数頭笹原でえさを食べていた。こちらの動きを察知したのか、慌てて逃げていき、そのうちの一頭が大きな声で鳴いている。なわばりに変なやつが入ってきたので、明らかに私に対して鳴いているようだ。

桧塚

 

 


国見岳方面

 

 マナコ谷の分岐まで戻ると3時半になっていた。マナコ谷へ降りる笹原だまた鹿が二頭駆け上がってきた。天気はあまりよくなかったが空気が澄んでいるので、室生火山群まで見渡せる。三峰山、高見山から続く北部台高と、地形がよくわかる。しばらく笹原を下ると植林帯に入り、作業道を何度も横切りながら駐車地点まで下った。

 本日は携帯を忘れたこと、地形図を忘れたこと、の二つのミスがあったが何とか無事に下山できた。しかしこれで終わりではなかった。3つ目のミスが林道に転がっていた。落石が道に転がっているのが気になっていたが、どうやらこの石でタイヤの横腹を傷つけたようだ。国道を走っていると、どうも車の挙動がおかしいので道の駅で後輪を確かめると案の定パンクしていた。修理ができないので交換となった。


2003_03_2