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北部台高縦走路 2003年3月2日(日)

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北部台高縦走路(台高)2003年3月2日 No.200 隊長

高見峠(9:18)−南タワ(10:14)ーハンシ山(10:58)−伊勢辻(11:29)−伊勢辻山(11:38)−赤ゾレ山(12:05)−(12:40)伊勢辻(13:40)−雲ケ瀬山(14:54)−国見峠(15:35)

 台高へは昨年末から何度も通っていたが、天気に恵まれずにいた。自宅から約2時間で高見峠に到着したが、松の木が大きく揺れて雲が足早に通り過ぎていく。先客は2台あったが、いずれも車の中で待機の模様。ドアを開けると冷たい風が吹き込んできたので、たじろいで反射的にドアを閉めてしまった。しかしここまで来た以上帰るわけにはいかない。今日は晴れのはずだ。準備を済ませ北部台高縦走路に入った。雨だかみぞれだかわからないが、右手から容赦なく吹き付けてくる。今年の冬は軟弱だったので、もう春が来たと思っていたが、このようすからするとまた少し冬が戻ったようだ。今日は天気がよく気温も上がるという予報だったが、ここ台高では全く天候が違う。山の天気は別のようだ。なにしろ駐車場の標高が900mもあり、鈴鹿でいえば入道の高さくらいはあることになるので無理もないだろう。

 とりあえずの目標は雲ケ瀬山の標高が1075mである。標高差約200mを緩やかに登っていく。植林帯と雑木林が入り交じっているので少しは救われた感がある。雲ケ瀬山までは、稜線を境に三重県側が植林、奈良県側が雑木になっている。奈良県側が雑木林は春には花でも期待できそうだが、どうだろうか。途中遭難碑がひとつあった。約40年前に若くして風雨に倒れたそうだ。合掌。5月といえでも、風雨にさらされて体温を奪われると低体温症になり危険だ。

 体が温まった頃に雲ケ瀬山に到着した。雑木の中にあるので展望はまったくない。ピークが緩やかなので、うっかりしていると知らずに通り過ぎてしまう。ピークを過ぎれば今度は降下が始まる。一定の傾斜でぐんぐん降りていく。下山時の降下は気楽なものだが、登り返しのある、また、帰りに登らねばならない降下は、「まだ降りるのか」と言いたくなってくる。その後も植林帯のアップダウンが続く。三重県側が伐採されているので救いはあるが、ガスで展望はない。食害を防ぐネットが延々と続いている。何十年かすると鬱蒼とした植林の森になるのだろう。ハッピノタワを通過すると徐々に登りが始まる。次のピークはハンシ山(1137m)で植林帯の中にああり、当然視界は全くないのでそのまま通過する。しばらく進むと地蔵谷頭があり、ここからは登りが続く。がちがちに残雪が氷っているのでよくすべる。アイゼンをつけた方がいいか、微妙なところであるが、そのまま進み伊勢辻に到着した。


伊勢辻のブナ林

 やはり標高が上がるにつれ新雪が数センチ積もっている。誰も歩い形跡がない。このあたりまで来ると植林帯がなくなり、ブナ林がひろがっている。ブナ林に入ると心も弾んでくる。樹氷のブナ林は実に美しい。背丈に低い笹が林床をおおっている。このあたりが台高らしさなのだろう。ひと登りすると伊勢辻山に到着した。遮るものはなく、展望は抜群である。少しガスが晴れて風も収まってきたようだ。赤ゾレ山、国見山、明神の方まで見通しが効いている。


伊勢辻山から赤ゾレと国見山

 さて、昼をどこでとるか、そしてどこから引き返すか思案する。国見山は射程距離に入っているが、ここからだと往復に2時間がかかる。峠まで戻るのにさらに2時間かかるし、昼食休憩を1時間とれば、下山時刻が17:30になる。昼食時間を切りつめれば17時には下山できそうだが、あなたならどうしますか?ということで、本日は赤ゾレ山をターニングポイントにする。


赤ゾレ山頂(南方は開けている)

 伊勢辻山からは高原状になっていて、見通しもよく気持ちよく歩ける。北部台高縦走路では、伊勢辻から赤ゾレ、国見、明神までがポイントになるのではないだろうか。もう少し日が長くなって雪もなくなり歩きやすくなると、日帰りで十分往復できるだろう。展望のよいところで昼食をと考えたが、風が止まなかったので伊勢辻にもどり、ブナ林でゆっくりと昼食をとった。ここで初めてひと組のご夫婦と出会った。またその後から年配の男性二人組が薪を担いで上がってきた。いずれも大又からのようで、高見からやってきたのは私だけだった。


ハンシ山付近から見る高見山と雲が瀬山

 皮肉なことに昼食が終わり、空を見上げると真っ青である。朝方の吹雪が嘘のようであった。しかし、気温が上がり一気に樹氷が消えてしまったようだ。時計を見ると1時半になっていた。下山ならのんびりと降りればいいが、縦走のためにそうはいかない。案の定、雲が瀬の登りが結構きつかった。予定通り2時間で高見峠に戻った。


2003_03_2