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霊仙(鈴鹿) 2003年2月9日

 

霊仙山(鈴鹿)2003年2月9日(日)No.196 隊長

今畑登山口(11:00)−笹峠(12:00)−近江展望(13:00)−霊仙山頂(14:15)−汗フキ峠(15:30)−今畑登山口(16:00)

 天気予報は晴れとでていた。西南尾根の稜線を歩きながら冬の霊仙のショットを狙ってでかけたが、完全に空振りに終わった。暖かい風が山で冷やされガスになる。平野部は晴天だったそうだが、霊仙は終始ガスに覆われシャッターチャンスは一度もなかった。

 6時半に目覚ましをかけるが、また寝込んでしまったようで、8時15分の出発となった。昨夜来の雨はあがっているが、まだまだ雲が空を覆っている。出発が遅かったので、西南尾根は無理かなと思いつつ、藤原山麓まで車を進める。土手の節分草が気になったので覗いてみたがまだのようだ。時計を見ると9:30だ。さてどうするか。時間があまりないので鈴北・御池という手もあるが、先週にまずまずの写真が撮れたので、山頂は踏まなくても霊仙の西南尾根を歩こうと決意する。306号線が最短距離だが、滋賀県側の規制がどうなっているか解らなない。少し贅沢だが、時間短縮のために関ヶ原から彦根まで名神を使うことにする。


廃村落合の集落

 快調にとばして今畑の登山口を11時に出発できた。このコースは2年ぶりになる。昨夜の雨で雪がシャーベット状になっていて、コンディションは最悪だ。先週の御池岳の上質の雪とは比べようもない。少しでも気温が高くなると雪の命ははかないものだ。高度を上げるにつれてガスが濃くなり、期待感も徐々に薄らいでいく。足跡を見るとまだ新しく、先行者がいるようだ。登山口で帰路につくワンボックスを見たが、他には車はなかったはずだ。笹峠に出るとガスと強風が待ちかまえていた。徐々に戦意が落ちてくるが、天気の回復にわずかな光明を見いだし、尾根の登りにかかる。コースが曖昧になるが、かまわずに登る。南斜面は完全に雪が融けていて、つるつるとよくすべる。アイゼンをつけようとも思ったが、2本のストックを効かせて登りきることができた。稜線に出るとガスと強風で、休憩するゆとりもないが、お腹がすいたので立ったままおにぎりを1個食べ、テルモスのお湯でインスタントコーヒーを飲む。先行者はここで引き返したようだ。ここからは踏み跡がない。さてどうするか?このような状態では稜線にはなんの未練もない。ここがターニングポイントだと思う。もし山頂を目指すなら、時間が心許ない。無積雪期のコースタイムなら休憩なして16時に車に戻れる計算だが、所々に地肌がのぞき、しかもこの腐れ雪ではスノーシューの威力も半減しそうだ。天候の回復が望めない以上、目的をルートファインディングに切り替える。ちょっぴり冒険心を擽られたのか、すこしファイトが湧いてきた。ガスのために視界は数十メートル以下に落ちている。痩せ尾根なら安心して歩けるが、少しでも平坦になると、途端に方向が解らなくなる。南霊岳を過ぎたあたりから霊仙山頂方向にコンパスをセットする。視界があれば快適な雪原散策だが、視界はほとんどないので、頼れるのは地形図とコンパスのみである。多少のアップダウンの覚悟はいるが、とにかくこれが最短距離である。踏み跡はない、視界がない、今どこにいるのかわからない、頼れるのはコンパスのみ。自信はあるが、刻々と変化する地形に惑わされそうで、不安になってくる。今までの経験から、登りになると安心感が湧いてくる。経過時間から予測すると山頂近くまで来ていることになる。


霊仙山頂

 スノーシューを腐れ雪に蹴りこんで斜面を登っていくと、4人のパーティーがガスの中を音もなく横切っていった。不気味な感じがしたが、ようやく登山道と交差したようだ。これで一安心だと左を見ると、そこは山頂だった。なんど誤差は10メートルだ。コンパスが頼りになることを改めて実感した。しかしガスと強風は止まず、昼食休憩すらできない。甘納豆とテルモスのお湯で空腹をしのぐ。下山時刻が射程距離に入ったので安心したのか、ストックを置き忘れ、10分ほど池を目指して下る。ここで25分のロスタイム。山頂付近で進路を横切った4人パーティーが池のほとりで休憩をしていた。おもしろいようにスノーシューが威力を発揮し、大きな団体においついて、軽くクリアーした。皮肉なことに高度を下げるとガスがない。最初の目的は成しえなかったが、完走した満足感とともに一気に出発点にもどった。


伊吹山

 

2003_02_9