歩人倶楽部  最新情報  レポート  登山  バリエーション  ブログ  プロフィール

藤原岳 No.190

 

藤原岳 2002年12月30日(月) No.190 隊長

 ギャラリー更新

 藤原岳観光登山駐車場(9:00)ー1合目(9:25)ー3合目(9:55)ー5合目(10:17)ー8合目(11:07)ー(冬道)ー9合目(11:21)ー(11:45)避難小屋(11:55)ー(途中撮影、小休止)ー(12:50)天狗岩(13:45)ー冷川鉄塔(14:48)ー木和田尾根ー山口、登山口(16:52)ー藤原岳観光登山駐車場(17:30)

 2002年の登り納めは、藤原岳に決めていた。春の花で随分お世話になっている山であり、もっとも登頂回数の大い山でもある。前日のハリマオさんの情報によると、積雪が期待できるので、ピークを踏むことよりも、稜線歩きが目当ての登山になった。この時期は稜線のトレースは全く期待できないので、稜線で雪を格闘するための体力を温存して小屋を目指した。さて、スノーシューの具合はどうだっかたな?

 もう少し早く家を出たかったが、準備不足で出発が遅れた。天気は良好である。両ケ池からの眺めは実に勇壮で、これが低山かと思うほどであった。山の上部にかかる雲が風景撮影の邪魔にならないかと気がかりだが、好天にケチをつけるつもりはない。低山といえどもいったん吹雪になれば、様相は一転し、冬山の装備がないと危険だ。しかしこの山域は平地が快晴のときでも、ガスや雲がでるから、なかなか撮影のチャンスに巡り会えない。地理的に見て日本海側の影響を受けるのか、琵琶湖で水分を補給した風が鈴鹿を超えるからはわからないが、ねらい目は冬型が少しゆるんだときだろうか?


両ケ池からみ竜ケ岳、藤原岳

 藤原岳観光登山駐車場には閑散としており、車は一台あるのみ。到着と同時にもう一台入ってきたから、合計3台だ。天気がよかったので、もう少し登山客が居るだろうと思っていたが、みなさん越年登山を狙っているのかな?準備をすませ、聖宝寺の階段を上がると、すぐに体が温まってきた。長命水から下は復旧工事が進んでいて完成に近い。長命水を一口飲んで登りにかかる。登山道は凍結しているがなんとかアイゼンなしで行けそうだ。今年はここで滑落事故があったからだろうか、真新しい固定ロープが目についた。完全に凍結してしまえば、アイゼンは必ず必要になる。


ウサギ

 高度を上げるにつれて、徐々に雪が深くなってくるが、トレースがしっかりとしているので、6合目までは苦労なく上がることができる。しかし問題はこの辺からである。谷筋の登山道は積雪が予想されるので、登山道をはずして尾根のコースをとることにした。誰しも考えることは同じですぐに先客のトレースと合流した。吹きだまりに入ると、膝の上まではまってしまうが、装備無しでも問題はない。積雪は昨日のものと思われるが、ウサギや鹿の足跡がやたらと多い。花だけでなく、生き物の多さを物語っているようだ。
 今日は稜線のトレースがメインなので、とにかく体力を温存して登ることに心がけた。 というのは、昨日の新雪で避難小屋から冷川谷の頭までの稜線トレースの難渋が予想できたからだ。いくらスノーシューを使っても足を取られないわけはないだろう。


9合目の積雪

 9合目を過ぎると雪が深くなってきた。サラサラで上質の雪質である。下山者二人とすれ違う。トレースがしっかりとしているので、スノーシューを使うまでもない。夏タイムとまではいかないが、苦もなく避難小屋に至った。風がないので小屋には入らず裏手の丘に上がり撮影にかかかる。しかし曇り空なのであまり気乗りのしない撮影タイムになった。なかなかの好天であるが、登山者は少ないようである。


避難小屋

 一息入れて、スノーシューをつけてみた。脱着は簡単にできるようになっている。ワカンに比べるとかなり大きい気がするが、思ったほど邪魔にならない。天狗岩へはひとり分の踏み跡があったが、その踏み跡には従わず、新雪を突き進む。もう少し浮力があると思ったが、吹きだまりでは30センチほど沈んでしまう。しかし、そこまで下がるとぐっと抵抗を感じ力が入る。ザックの荷物を含めると制限体重の上限を少し越えているので無理もないと思う。店頭ではかなり大きなものに見えていたが、山ではそんなに大きいとは思わなかった。もう少し大きいのを買うべきだったと反省する。しかしもう少し雪が閉まってきたらこれで十分だろう。


小屋近くの稜線

 吹きさらしになる稜線は展望もよく大変歩きやすいが、ひとたび樹林に入り込むと1m近い積雪になる。スノーシューの本領発揮である。20〜30センチは沈むが軽く抜き出すことができる。思うままにコース取りをしながら天狗岩を目指した。スノーシューの調整をしながら、写真を撮りながら、約50分で天狗岩に到着した。夏タイムが30分だから、歩行時間は40分を切っているかもしれない。時間よりも疲労感をあまり感じかなったところに、その効果を時間できた。


スノーシューの踏み跡

 風が出ればツェルトを張ろうと思っていたが、それには及ばず、風裏で食事の準備をした。ガソリンストーブは頼もしい、ガソリンを満タンにしてあるので、ずっとつけっぱなしにした。風はないが気温は低いので、手袋を脱ぐとすぐに凍えてしまう。雪を溶かしラーメンとコーヒーのお湯を作る。


天狗岩で


天狗から藤原

 ガスが晴れ、薄日が咲き込んだ時が撮影チャンスである。稜線の樹氷が主役だろうか。もう少し山を撮りたかったが、ガスで輪郭がはっきりとしない。次の機会にしよう。


稜線の樹林

 さて今からどうするか、と時計を見る。微妙な時間である。このまま引き返すにはもったいない気がするし、木和田尾根を降りるには時間が心許ない。縦走が1時間で完了するとして、降下は夏場で1時間30分はかかる。しかし雪が深いので保険料30分を足して、17時下山完了と計算できる。ぎりぎりセーフのようだ。後に続いてきた単独登山者2名は引き返していった。さてここからはスノーシューの力が試されるときである。トレースは全くない。コース取りは自由にできる。少しガスは出ているが方向さえ間違わなければ、勝手知った道であるから全く不安はない。スノーシューが雪を滑る音を何にたとえようかと考えながら、気持ちよく樹林を抜けていく。緩やかな鞍部を過ぎると今度は登り返しがある。夏場なら苦にはならないが、これだけの新雪があるとスノーシューをはいていても辛いが、はまりこんで立ち往生するようなことはない。深く沈んでもぐっと抵抗を感じるので力が入る。しかしバランスを崩すと倒れるしかないので、ストックは2本あったほうがいいことがわかった。それから、下りが苦手なことも判明した。傾斜があるほど滑りやすく、尻餅をつくと起きあがれない。手をついても潜り込むし、ストックを入れると全部すっぽりと入ってしまうので役に立たない。そんなときはミノムシになって横になってから起きあがる。


烏帽子


スノーシュー

 予定通りの時間で冷川谷の頭についた。白瀬峠を回っている時間がないので、巡視路を下ることにした。目印は全く見えなくなっているので、二本目の鉄塔から方向を定めて一直線に降りた。スノーシューをはいていたので滑って転んでしまい、そのまま5メートルほど滑り落ちてしまった。またミノムシになって体勢を立て直し下の鉄塔まで降りたところでスノーシューをはずした。雪はかなり深いが、ない方が歩きやすそうだ。坂本の分岐まで下るがトレースは全くない。もう一度スノーシューをはいて、木和田尾根に入った。雪は深いが下山時間を計算できる所まで来たので一安心である。


亀尾

 17時前に登山口に到着した。駐車場まで歩いて40分かかった。鈴鹿の山の良さを改めに実感できた一日であった。

 


Photo Club