歩人倶楽部  最新情報  レポート  登山  バリエーション  ブログ  プロフィール

大洞山(室生火山群) No.187

 

大洞山 2002年12月8日 No.187 隊長

 杉平ー大洞山(雌岳)ー雄岳

 美杉村は四方を山に囲まれた村である。松阪からは存続が危ぶまれている名松線があり、終点の伊勢奥津を基点にすると公共交通機関を利用した日帰りの山行が可能だ。今日は鳥羽で泊まりだったので、勢和多気ICから国道368号線で美杉村に入った。368号線は国道とはいえ、300番台に入るとまるで林道のようである。朝から二日酔いで頭が痛かったが、痛いのも忘れて峠を越えた。村に近づくと道幅も広くなり、立派な道の駅ができていた。


美杉村道の駅

 以前からクマガイソウを探しに何度か足を運んでいるが、このあたりの山には興味がもてず手つかずの状態だった。昭文社の地図でいうと赤目倶留尊高原(室生火山群)である。鈴鹿のように山脈で一列に行儀よく山が並んでいるのではなく、山の群れとなった感じだ。この山の木を全部取り除くと地形的には九重によく似ていると思う。つまり火山群の地形なのだ。三重県に限って言えば、大洞山(958)、岳の洞(1021)、倶留尊山(1037)、尼ケ岳(957)があり、少し南に行くと台高の三峰山が構えている。台高ほどの標高はないが、富士山型のきれいな山が多い。しかし、林業が発達しているで山頂付近まで植林されていて、林道もよく整備されていて、大変アプローチはよいのだが、逆に山歩きの楽しさに欠けるのが難であろう。


大洞山(958)

 今回は大洞山を目指した。このあたりは三多気の桜で有名な所だ。伊勢国司北畠氏の祈願所のなった真福院までの参道には1500mに渡って約2000本の桜の古木が並んでいる。国指定の文化財になっている。しかしこの時期に訪れる人は私以外にいないだろう。しかも、雨模様である。先週の三峰山ともなると、雨でも登山者がいたが、結局今日は誰とも会わなかった。高度を稼ごうと思えば自然歩道を車で上っていけばいい。途中十数台の駐車場があるのでそこに車を停めた。しかし桜の時期にはバス停の近くの大きな駐車場から花見をしながら歩くのもいいだろう。

 登山道は殆どが植林帯の中を通っている。おもしろいのは殆どが石の階段でできていること。まるで熊野古道でも歩いているような錯覚に陥る。苔むして雰囲気がいいが、雨で滑るのがいけない。標高差はわずか450mほどだが、山頂まで続く階段の急な登りはなかなか手応えがある。山頂が近づいてくると傾斜が緩やかになり、笹やススキが現れるとやがて山頂に到着した。大汗をかくと体が冷えるので、適度に体を冷やしながら登ったが、約40分で山頂に立った。雄岳往復があるが、できればバス停からのんびりと花見をしながら歩いたほうが味わいも深い。


大洞山山頂付近(雌岳)


 植林は山頂付近まで続いているが、山頂の周辺は木が切り倒してあるので、展望が開けている。しかし、本日は雪のために展望がなかった。これで先月からの台高に続いて4連敗である。できれば倶留尊山の勇姿を見たかったが、叶わぬ望みには未練もない。午後から天気が崩れる予報なので、急いで雄岳まで駆け上がった。稜線にもかかわらず、びっしりと植林がなされているので、薄暗くて気味が悪い。15分で雄岳に到着した。誰もいない。やっぱり?そうでしょう!このあたりの山に何遍も登っている人がいたら、話でも聞こうかなと思っていたが、当てが外れた。本格的に雪が降りだしたので、フリースのうえから雨具を着込んで、袋ラーメンの調理にかかる。夕べの飲み過ぎで食欲があまりないが、雪の中、背中を丸めてすするインスタントラーメンも、趣があってよろしい。

 


雄岳山頂

 飯が腹に収まれば、あとは山を駆け下りるだけだ。一気に降りて、池ノ平高原に向かった。天気予報通り、雨も本降りになってきた。高原のイメージに多少の期待があったが、廃屋やさびた放置車両を見て、がっくりとなってしまった。くろそ山荘に生活感を感じたが、三重県側からのアプローチには不満である。

 国道に戻り、名張経由で帰宅することにした。名張からは実に快適な道が上野までできていた。先週に登った錫杖岳を見ながら、亀山から鈴鹿に向かった。

 

Photo Club