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七人山テント泊 No.178

 

雨乞岳、七人山、国見岳テント山行 No.178
 参加者 いわなっちさん、panaちゃん、旅人くん、じんじんさん、山ちゃっん、なっきーさん、kさん、隊長の8人でした。

 テントを担いで鈴鹿の山を歩くことはあまりない。しかし、いわなっちさんにとってはこのスタイルgが普通である。てなことで、いわなっちさんに鈴鹿テント泊の手ほどきをしてもらった。
このコースは日帰りが十分に可能なコースである。しかし、テント泊を入れることで、多少荷物が重くはなるが、ゆとりが生まれ鈴鹿の魅力を十分に引き出すことができる。七人山とブナ清水のブナ林、国見周辺紅葉、友との語らいなどなど、魅力満載の山旅になった。


 9時に朝明ヒュッテバス乗り場前の駐車場に集合する。遅刻者なし。どうやらなっきーさん達が一番乗りだったようだ。私はいわなっち山を四日市駅で迎え、K石油店に立ち寄ってから、集合場所に向かった。天気は予報通り下り坂で、怪しげな雲が降雨を伺っていた。ひところ荒廃した感があった朝明渓谷も営業をやめた山小屋の廃屋は気になるが、河川を中心に再整備が順調に進んでいる。ここは、御在所、国見岳、雨乞岳、釈迦ケ岳、愛知川などの登山基地に適した位置にあり、休日には整備された駐車場がマイカーであふれている。この日は雨になることがわかっているにもかかわらず、すでに十数台の車があった。いつものように駐車場の係りのおじさんが集金にやってきた。一日500円の所を、2日で500円にしてもらった。一泊組は、駐車場の端へ車を移動した。


 本日のメンバーは山慣れているので、要領よく準備をして、いざ出発。道路脇には山小屋がたち並んでいるが、キャンプシーズンを終え閑散としている。マイカー登山者が増えたこと、都市部からのアクセスがよいことなど、絶好の秋山シーズンにかかわらず、宿泊者は殆ど見かけない。また、日帰り登山者が大勢を占める中、テント泊の大きな荷物を担いだ団体は人の目を引いた。渓流にかかる新築の石橋を渡り、山芋のムカゴをほおばりながら、羽鳥峰へ続く林道と分かれ、壊れたまま使われなくなった林道を根の平峠に向かう。


 ブナ清水への分岐点を確認し、峠で小休止する。滋賀県警のヘリが愛知川の上空を飛び、拡声器でなにやら呼びかけている。「だれだれさん、聞こえたら合図してください」と何度もいいながら旋回していた。どうやら雨乞へいった登山者が、昨日から帰らないそうだ。今から天気が崩れてくるから、早く発見しないと危険だ。根の平峠はおなじみの休憩地点だが、今回はテント山行なので、どこかゆとりがある。この時期のこのコースの日帰りピストンはかなり忙しく、峠ではのんびりとできない。


 多少のアップダウンを繰り返しながら、上水晶谷分岐に到着。ここで案の定雨が降り出した。予定通りだが、降水確率50パーセントなので降らない方にはずれてほしかった。天気図を見れば、低気圧が日本海と太平洋を通過している。途中、十人くらいの団体と出会った。手にゴミを持っていたので、清掃登山なのかもしれない。ご苦労様です。この後は、七人山まで誰にも会わなかった。
 鉱山跡まで進むと、雨も小降りになってきた。今がチャンスとばかりに昼食休憩にする。みなさん手慣れたもので、手際よく昼食の準備をする。また雨が降り出した。前線よ、早く通過してくれといのり、杉峠に向かう。
 杉峠からの100mの急登に備え、またまた小休止だ。休みすぎはわかっているが、これもテント泊のいいところだ。樹林の急登をしのぎ展望のよい笹道に出るが、ガスのため展望はない。そのまま背丈ほどの笹の道に突入。雨に濡れた笹が顔を打つ。辛抱して笹のトンネルを抜けて山頂に出た。やはり展望はなし。こうなれば早くテント場につきたくなる。記念撮影後、東雨乞いを素通りして、またまた背の高い人には不利な笹のトンネルを降下する。16時前に七人山に到着する。


 ここはアルプスのテン場じゃないぞ。ピークから少し降りた大地の真ん中に、それぞれがお気に入りの場所にテントを設営する。ブナの落ち葉の絨毯は、最高の寝床になった。マットは不要だ。テント設営後、いわなっちさんの案内で、水の確保に沢に降りる。5分ほど降りると水場があった。今晩と明日の朝食の分を確保しテン場にもどる。ストーブを囲み、みんなで夕食を楽しむ。その後の語らいの時間もあっという間にす過ぎ、9時過ぎにテントに潜り込んで眠りにつく。アルプスのテン場だと何度も目を覚ますが、ブナの森は実に人に優しい。前線が通過し、風は出てきたが、森が風を収めテントがばたつかない。6時過ぎまでぐっすりと眠れた。朝目覚めたとき、ここが七人山であることに気づくのにタイムラグがあった。
 

 8時に出発することにする。夏のアルプスの朝からは想像もできないくらいのんびりとしている。しかし、このゆとりはなんと贅沢なことか。心と体がリラックスして、まるで休日の朝に似ている。各自朝食を済ませ、テントを撤収していざ出発だ。風は出ているが天気は文句のつけようのない晴天だ。まずは台地に東の端に移動し、地形図と磁石で降下する角度を決め、尾根づたいに降下開始。約40分で標高差350mを降下し、狙い通りコクイ谷分岐に到着した。下降とはいえ、勾配がきつくて滑りやすく、標高差もあり、荷物も重いので、朝から一汗流した。


 一息入れてから、上水晶の出会いに向かう。途中、前から歩いてきたご夫婦に声をかけられる。隊長さん、panaちゃん。なんと山の友ちゃんだった。掲示場では何度となく情報交換していたが、実際に会えたのはうれしい。本日はイブネピストンらしい。この界隈でも特に県境稜線を境に人口密度が極端に違う。一歩滋賀県側に入ると山も深くなり、静かな山旅が約束されている。このあたりを歩くのは鈴鹿を知る人だ。
 
 国見峠への登りにかかる。さすがにここまでくると、谷を降りてくる何人かの登山者と出会うようになる。最初は傾斜も緩やかだが、峠が近づくにつれて徐々に傾斜もきつくなってきた。日帰り装備なら一気に峠まで行けるが、所帯道具を一式担いでいるので、汗が噴き出してきた。小休止を入れてひとがんばりすると登山者の行き交う国見峠に到着した。紅葉の時期なので登山者が多く、人の流れが途切れることがないほどだ。
 
 さて、このあと少し国見岳へ登れば、後は下るのみだ。掘割の登山道を抜け、シロヤシオのトンネルをくぐると岩場に出る。御在所の紅葉は逆光の位置にあるが、これはこれでいい感じだ出ている。重いザックを降ろし、景色の見ているだけでも飽きることがない。あっという間に時間が過ぎてしまい、おなかもすいてきたので、石門を見学してから山頂に向かう。岩の上に上がると風にとばされそうになるが、透明感のある気団に包まれた鈴鹿は遙か遠くまで見通しが利く。釈迦、藤原、御池、霊山連なり、西には紅葉に包まれたイブネ、クラシの山塊がすぐそこに迫っている。眺望を楽しんだ後は、青岳に向かって少し高度を下げ、ガレ場で昼食にありつく。
 
 さて今回のおおとりをつとめるのがブナ清水だ。青岳から少し下った所の分岐から腰越へ進む。ブナの木が目立ち始めたところで、ブナ清水への降下を開始する。最初は平坦な下りだったが、地形図の等高線からは読みとれない地形が現れだした。小さな起伏がいくつもあり、単純な地形ではないので、磁石と地形図のにらめっこが始まる。案内役のいわなっちさんは登りでは2回ほどブナ清水に至ったことがあるそうだが、下りは初めてのこと。高度計を見るとすでにブナ清水の標高に達している。樹幹から過ぎ峠が見えるので角度を測ってみると、どんぴしゃブナ清水が線上に乗っている。ひとつ谷を越えてやっとブナ清水に到着できた。やはり下りで見つけるのは難しい。このあたりのブナの密度はかなり高い。鈴鹿の三重県側でこれだけ密集しているのはここよりほかはないだろう。早速、清水でお湯を沸かしコーヒータイム。贅沢とはこのことである。さて、後は下るのみ。
 
 

 

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