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伊吹北尾根_1 2002.05.05 No.157

 

雨乞岳(鈴鹿)2002.5.6 No.158 うさぎ同伴 new

 武平峠(8:00)−沢谷−コクイ谷出合−杉峠−雨乞岳−東雨乞−武平峠(16:00)

 一石二鳥、いや三鳥を目論んで雨乞岳周回コースを選択した。昨日の暑さが嘘のようで、鈴鹿の山がすがすがしい空気に包まれた。コクイ谷周辺のヤマシャクヤクの咲き方が気に入った。見るものを拒まず、形振りかまわずに咲いている様は潔くて気持ちがいい。しかしどうしたことかホンシャクナゲにいきよいがない。またイワカガミの群れは健在だが、少し時期が早かった。欲はだすまい。ヤマシャクヤクに堪能した。

 今日は少し距離があるので、時間にゆとりを持たせて8:00から登り初めた。家から登山口の武平峠までは車で50分はかかるが、地の利を生かしていつもの出勤時間だ。トンネルを越えて滋賀県側に出るが駐車場がない。やむなく三重県側に駐車。風が三重県側から吹き抜けている。風に押されるように歩いてトンネルを抜ける。体が冷えてしまったが、登山道に入ると体が直ぐに暖まってきた。昨日は初夏を思わせる高温多湿だったが、今日の天気は実にさわやかである。4月に入ってからはあまり天候に恵まれなかったが、そのうっぷんを晴らすような好天に恵まれた。しかし、自分の体のコンディションがよくない。昨日伊吹で左足をひねったようだ。朝おきて鈍痛に気づいたが、中止にする勇気などない。足の怪我の自慢をするつもりはないが、右足骨折2回、左足膝の脱臼1回の経歴が刻み込まれている。話は逸れたが、右足手カバーしながら順調に滑り出した。

 笹をかき分け暗い植林帯を抜けるとギンリョウソウがたくさん咲いていた。こいつは全くフライングだ。今年は花の時期が概ね10日は早いが、2ヶ月のフライングとは恐れ入ったと思い、自分の図鑑を見たら花期は4月上旬から8月下旬とあり、納得して敗北を認めた。
 このコースは800m〜900mを前後しながら進む。少し降り始めると沢谷に出る。このちょろちょろとした流れは、愛知川・琵琶湖・大阪湾へと流れる。御在所と大阪湾はがつながるところが不思議な気がする。直ぐ前に伊勢湾があるので不思議に思うが、この鈴鹿山脈の生い立ちを考えるとうなずける。沢の縁にはトリカブトに混じってツクバネソウが咲いていた。計算されたように4枚の葉が輪生し、伸びた花茎の咲きに小さな花をつけている。ユリ科の花も実に多様だ。


ルイヨウショウマ

 途中、雨乞へのルートを分かれ、沢谷を進む。沢の音が力強さを増すに連れて谷の切れ込みも顕著になってくる。淵を覗き込むと黒い陰が走る。イワナかな? もう花は落ちているが、あちらこちらの岩場にイワウチワの群生がある。稜線の尾根に咲くイワウチワもいいが、岩場に咲くイワウチワが本命なのかもしれない。連れてきたうさぎが、イワウチワはここがいいからと、来年の計画を立て始めた。気が早い。

 


  実はこのルート、逆は何度も通っているが、下りに使うのは初めてだ。時間が早いためか、コクイ谷出合いまでは、誰にも会わなかった。途中、ホンシャクナゲが咲いていたが、今年は昨年よりも勢いがない。ヤマシャクヤクの群生はわずかである。

 

 コクイ谷出合いに出た。一週間前にイワナを焼いた跡があった。誰が食べたか私は知っている。みんなも知っている。ヤマシャクヤクの群生を撮影するために少し朝明の方へ歩く。見るものを拒まず、形振りかまわずに咲いているのが気に入った。もっと密やかに咲いていて欲しいが、捜すまでもなくどこにでも咲いている。見事な栃もある。例のごとく、35、645、デジタルで思う存分撮影を楽しんだ。コクイ谷出合いに戻り、雨乞に向かう。川を越えたところにトリカブトの大きな畑がある。畑というと語弊を招きそうだが、本当に畑に植えた野菜のようになってる。この畑の縁にもヤマシャクヤクがたくさん咲いている。鉱山跡までとぎれることはなかった。イワカガミの群落もあるが、花はまだ咲き始めだ。来週あたりから見頃になるだろう。

 

 

 杉峠が見え隠れしだすとまもなく鉱山跡に到着。ここまでで出会った人は単独の男性二人だった。御在所や藤原の喧噪が嘘のようだ。茶色い動物が動いた。一瞬鹿に見えたが、おおきなウサギだった。今度は石段を上がるとリスが駆け回っている。人の気配に気づき、岩の上に登ってこちらの様子を伺っている。300ミリの望遠はザックの中である。手持ちのカメラに着いているのは100ミリのマクロレンズだ。レンズを取り替えようとザックを下ろすと、こちらの動きを警戒して逃げていった。先月、伊吹山でカモブタ(ハリマオさん命名、豚のように太ったカモシカなので、カモブタという)と出会ったときは、偶然300ミリレンズがついていた。この鉱山跡は使われなくなってどれだけになるか分からないが、初めて見たときの驚きが今でも思い出される。鈴鹿の峠やらこの鉱山跡は、当時の人の往来が偲ばれて、歴史浪漫に浸れるからいい。

 

 小休止をはさみ、杉峠に向かう。いつものように杉が出迎えてくれた。一本だと思っていた杉はよく見ると2本あった。山と渓谷の昭和25年10月号のも2本あるとあった。ここで3人目の登山者とすれ違う。なんと、知り合いの同業者の方だった。昨日といいきょうといい、よく知っている人と出会う。峠を駆け抜ける涼風が実に爽やかだ。時間を忘れて長居したくなるほどだが、本日の行程はまだ終わっていない。これから雨乞岳までの標高差200mの楽しい登りが待っている。一定のリズムを守れば苦もなくやり過ごすことができる。急登をしのぎ緩やかな登りの転ずると、気持ちのすくような展望が約束されている。登山道にはタテヤマリンドウが花を開き、樹林の中のオオカメノキの白い花が目を引く。尾根の岩の上に陣取り空腹を満たす。誰もいないから陣取ることもないが。

 笹を分け、雨乞岳、東雨乞岳からの眺望を楽しむ。この時期の若葉の緑は絶妙だ。この日しか出せない色だと思う。また明日は緑が進み、少し様子が変わる。北は伊吹山、南は仙ケ岳まで鈴鹿を一望できる。伊勢湾側から見る鈴鹿よりも、山の深みを感じることができる。どっぷりと眺望の浸る前に山頂を後にし、笹を分けて七人山分岐まで降りた。登り返して若葉のブナ林を確かめたいのだが、そろそろひねった左足が悲鳴を上げ始めた。左足をかばって歩いていた右足がつり始めていた。そんなことで、ブナはお預けでだましだまし車まで戻った。

 

 


 

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