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(馬の背尾根−鎌ケ岳−長石尾根(鈴鹿) 2002.4.13 No.152

 

馬の背尾根−鎌ケ岳−長石尾根(鈴鹿) 2002.4.13 No.152 new 

 蒼滝下無料駐車場(9:00)−三岳寺−馬の背尾根−鎌ケ岳−長石尾根−車(17:00)

 山屋にとっては遅い出発である。17時に下山したいので、時間を逆算するとこの時間の出発になった。蒼滝下の無料駐車場には数台とまっていたが、閑散としている。花の季節ならもう少し車が多くてもいいはずだ。しかし、この蒼滝から山頂をめざすと1時間余計に時間がかかるので、皆さん敬遠しているのか。ドライブウェイの登山口付近に路肩駐車が目立っているのだろう。
 ロープウェイの駅を正面から見ると、山頂まで一直線にロープウェイが伸びている。観光ガイドブックの写真に使えそうだ。しばし御在所山を眺めるが、本日は隣の鎌ケ岳が目標だ。駅の横をすり抜け、温泉街に降り、アスファルト道を歩く。登山靴でアスファルト道を歩くと、足首が痛くなるのでいやだが、仕方なし。温泉街の中心を流れる三滝川はよく整備されていて、湯上がりに浴衣を着て歩くには情緒があってよろしい。

しかし、営業を中止した旅館が何件もあり、朽ちたままにしておくと、お客さんにかなりのマイナスイメージを与えることになる。ロケーションは大変いいと思うが、営業となると難しさがあるのだろうか。あれ、最初から脱線している。


 馬の背尾根の登山口は、あの勇壮な僧兵まつりで有名な三岳寺にある。盛りを過ぎたコブシを見ながら、巡礼の道を登ってゆく。かなりの傾斜だ。生育条件がいいのかショウジョウバカマが多い。展望まで登ると温泉街やロープウェイがよく見える。一息入れて、尾根に取り付くまで頑張って登る。この標高ではミツバツツジが終わっているのは残念だが、足下にイワウチワが密生してのを見つけ、いきなり撮影タイムに入る。35、645、デジカメとそれぞれ撮影の仕方が違うので時間がかかる。35ミリとデジカメは普段から飼い慣らしているので、ねらった写真が撮れていると思うが、じゃじゃ馬の645は使い慣らすまでが大変だ。


イワウチワ


 とりあえずは湯の峰(P733)をめざして、イワウチワを撮りながら尾根の進む。この時期はイワウチワ街道といっても過言ではない。尾根道の落葉樹はやっと若葉が出し始めたところなので、まだ両サイドの眺望がきき、光も多く撮影には困らない。花崗岩は風化してザレてはいるが、白くて明るい登山道だ。なにより人と会わないのがいい。結局、カズラ谷登山道までは誰にも会わなかった。


 標高700m過ぎを上げたり下げたりしながら 遠足気分で尾根を歩く。白ハゲが近づくにつれて、アカヤシオが多くなってきた。標高700mから800mのものが見頃を迎えている。ミツバツツジもアカヤシオと花期が同じようだ。ミツバツツジの花の色は、赤と言うよりも赤紫だ。派手な色をしてる。よれに比べアカヤシオは優しく上品なピンクだ。アケボノツツジの別名を聞くと納得できる色だ。長石分岐を過ぎたところで、小休止しておにぎりを1個食す。少し雨がぱらつくがたいしたことはない。ここからは、少し登りがきつくなり一気に高度を上げていく。登り切ったところから、雲母からの登山道合流点まではアカヤシオが見頃だ。それに鈴鹿の鋭峰と言われる鎌ケ岳もこの角度から見ると、谷からの立ち上がりが迫力だ。標高差400メートルの斜面にはこの時点ではアカヤシオは確認できないが、所々にコブシの白色が目につく。まだ茶褐色の冬色をしている。


 ガレ場の花崗岩の風化が甚だしい。というよりも行きかう登山者が少ないので、足場が悪い。注意をはらい尾根に乗る。この尾根は若いブナ林になっている。ブナの森は他の雑木林に比べると、垢抜けしたように感じる。まだまだ若いのでこれからが楽しみだ。藤原物語が語られる頃にはもう少しお兄さんになっているだろう。このあたりからバイカオウレンが目につき始めた。藤原御池にはあまり多くないが、この花崗岩質の山が好きなようだ。逆に親戚のセリバオウレンは見かけない。イワウチワは少ないがショウジョウバカマやイワカガミが多そうだ。
 しばらく進むと見覚えのあるカズラ谷道に出た。やっとここで下山者とすれちがう。なんとウサギの知り合いだった。なんでも、今朝は私の本を見てから来たそうだ。うれしいな。


ショウジョウバカマ


 気が付くと14時を過ぎていた。とにかく山頂までいきその後の予定を考える事にする。登り着くと、時間が遅いのであまり登山者は居なかった。やれやれ、長い尾根を歩いてきた満足感がある。少し遅めの昼食にする。とそこへ、どこから来ましたかと訪ねられる。馬の背尾根と答えると、私の正体が判明すると同時に、とっちゃんであることを知る。今日はあまり人に会わなかったのに、会った人は知っている人であることは奇遇である。


 気がつくと15時前になっていた。アカヤシオが咲いていれば、武平へ降りる途中から撮影を予定していたが。空振りに終わったので、長石尾根を降ることにする。シロヤシオ林を急降下し尾根に乗る。しかし、急降下の途中でバイカオウレンの花盛りにつかまりしばしの撮影タイム。これからここをバイカオウレン街道と呼ぶことにする。また、アカヤシオも多いので、これから先数週間は目が離せない所である。


バイカオウレン


タテヤマリンドウ


 快調に尾根を降り、一の谷茶屋の手前に出る。温泉街を通りロープウェイの駅でアイスクリームを買って食べながら車に戻る。17:00予定通りの下山だ。明日の藤原岳は大丈夫だろうかと不安になる。
 藤原岳と比べるとこの山域の植生はまったく違う。地質の違いに起因するが、藤原で普通に見られるのもはこの山域にはない。

今時、藤原に咲く花は、
ミヤマケマン、ムラサキケマン、ハクサンハタザオ、ミヤマカタバミ、イチリンソウ、ニリンソウ、アズマイチゲ、キクザキイチゲ、エンレイソウ、ミノコバイモ、カタクリ。ヒロハノアマナ、フクジュソウなど。

方や御在所の主力は、
アカヤシオ、バイカオウレン、イワウチワ、タテヤマリンドウ、ミツバツツジである。

やはり藤原の方が花の種類は多いが、アカヤシオに代表されるように華やかさではツツジ科の多い御在所に軍配が上がる。しかし同じ時期にそれぞれの山の主力が咲くので、どちらに行くかこれまた困ってしまう。

 

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