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藤原岳(鈴鹿) 2002.1.3 No.138

 

藤原岳(鈴鹿) 2002.1.3 No.138 new

 西藤原駅(10:00)−大貝戸道−8合目(12:45)−避難小屋(14:40)
 避難小屋(15:20)−西藤原駅(17:5)

 雪との戦いとなりました。行程からもわかるように、8合目から避難小屋まで、2時間を費やしました。8合目までは膝下までのラッセルだったのですが、8合目からは積雪が膝を越えたので、急に前に進まなくなった。ということで、登りに4時間40分かかったのは、いままでにないことだ。

 
藤原町内の道路の積雪

 鈴鹿ではほんのわずかな積雪だったが、菰野あたりから徐々に積雪が多くなり、藤原町内では30センチは超えていた。小学校前の観光登山駐車場に駐車の予定が、積雪のために入れず、車を西藤原駅に回した。第1級の寒波だから無理もない。ここまでの間に何台かの車が路肩に突っ込んで、雪の餌食になっていた。普段は出番のない4WDとABSがこのときばかりは、頼もしい存在となる。坂道でスリップして立ち往生している車をよそ目に、すっとすり抜けるのも気持ちがいい。ちょっとブレーキを踏み込みすぎても、ABSがグリップを失うまいと踏ん張ってくれる。しかし基本は安全運転だ。

 単独の男性とほぼ同時に駅を出発する。この積雪では、聖宝寺道は無理と判断し、表登山道からの入山となる。この地点ですでに積雪は20センチくらいか。足跡からして、2,3番目か?雪質もいいし、この状態ならさほどペースを落とさずに進める。しかし、この前の登山からちょうど一月開いていたので、足腰の筋肉がかなり落ちているのは確かだ。あまり力を入れずにだましだまし進む。だましがどこまできくか、いささか不安である。案の定、さましが効かなくなったのは、9合目からだ。

 4合目で男性二人組を会う。この二人が先頭でトレースしてくれていたみたいだ。追い越したので2番手になる。さすが2番手ともなると、積雪量が増えてきたこともあるが、歩きにくくなってきた。しかし、膝を越えなければ何とか前進できる。6合目で小休止し、二人組に先に行ってもらった。ひと月のブランクは大きい。少し太股の筋肉がちくちくしだした。無理はできないので、少しペースを落とす。

 8合目は吹きさらしになっていた。聖宝寺道からのトレースはない。ここで同じペースで登ってきた年輩の男性が引き返す。一瞬、誘惑に駆られたが、まだ足の状態が悪くないので、自分にゴーサインを出す。これで、山頂をめざしてるのは中年男4人である。あとは誰もいない。心のときめきを求めて、あえてこんな過酷な環境に身をさらすことができるのは、中年男性に多いような気がする。ということは、普段の生活にはこころのときめきがないと言うことか。そうだ、そうだ。など考えながら、冬山登山道に突入する。3番手になったので、少し楽であるが、積雪が膝を越えだした。こうなると非常に歩きにくくなる。傾斜も急になってきたので、足に力を入れないと登れなくなってきた。前に進めない。心にときめきを感じるゆとりが徐々になくなっていくのがわかる。時折、引き返したい気持ちが見え隠れする。しかし、合数で換算すると、残りわずかである。時計をみるゆとりもなくなってきた。とうとう、左足の太股の筋肉が悲鳴をあげだした。ぴくぴくして痙攣しそうだ。さらにペースを落とし、右足でカバーする。何とか9合目に到着。

 あとひとつだ。雪がなければ20分の距離。悪くても40分もあればと安易に考える。しかし、先発3人組に直ぐに追いついてしまった。行きに阻まれて前進できない状態だ。積雪が膝を越えて腰に迫ろうとしている。ここからは先頭を交代しながらの前進となる。しかし、10メートルの先頭をつとめると息があがって立ち止まる。ここで、天狗岩でテント泊した男性とである。避難小屋からトレースしてくれたので、幾分は楽になるが、状況はあまり変わらない。だましだましきた足がここで駄目になる。両足とも筋肉がつって痛いので、力が入らなくなった。最後尾に下がり、さらにペースを落とす。後ろを見ると大きな荷物を担いだ若い男性2足りが、ぐいぐいと登ってくる。今夜は小屋泊だそうだ。あっという間に抜かれてしまった。そんな事はどうでもいい。問題は、自分が小屋までいけるかだ。しかし、ここまできた以上、引き返すわけにも行かないだろう。そして、最後の力を振り絞って小屋に到着。

 小屋は、中年男性4人と若者男性2人だ。めいめいが遅い昼食の準備を始める。といっても、もう15時だ。下山時間を考えるとあまりゆとりがない。おにぎりにかぶりつくと、冷凍食品になっていた。こんな時はやけくそのラーメンライスだ。カップ麺の中にぶち込んだ。小屋の温度計は壊れていたが、気温はかなり下がってきたようだ。ここで一夜を明かすとなるとちょっと勇気がいるな。だけど若いから大丈夫だろう。

 ザックの中には645のカメラがあるけど、もう撮影する気力がなくなった。今日の目的は、雪山の撮影だったのに。雪との格闘になってしまった。雪を甘く見るなということだ。

 

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