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木曽駒ヶ岳 2001.8.24 No.123 new

 今年も夏の花が終わろうとしています。これが最後のチャンスとばかりに、手っ取り早く高山の花が見られる木曽駒ヶ岳へ行って来ました。天気も安定していて、下界の残暑もしばし忘れることができました。

8月23日
自宅(21:00)東名阪−中央高速−駒ヶ根IC−菅ノ台P(0:00)

 仕事から帰り夕食も済ませてから、午後9時に自宅を出発する。目的地の菅ノ台駐車場までは、距離にすると片道約200キロで、ほとんどが高速道路を走ることになる。何の渋滞もなく3時間で目的地到着。車中泊。

8月24日
菅ノ台P(6:00)−バス−しらび平(6:40)−ロープウェイ−千畳敷(7:00)
−写真撮影−乗越浄土(8:00)−中岳−木曽駒が岳−馬背分れ−キャンプ場−中岳
−宝剣山荘−宝剣岳−極楽平(13:00)−千畳敷(13:30)
−しらび平(14:00)−菅ノ台P(14:35)
駒ヶ根IC −中央高速−東名阪−自宅(18:30)

 5時に目覚めると、駐車場のあちらこちらで、登山者が出発の準備をしていた。シラビ平行きの定期バスの始発は6時12分とある。始発に乗ろうと準備を急ぐ。バスとロープウェイの往復切符を買って、バス乗車待の列に並ぶ。定期バスよりも早く、臨時バスが来た。並び具合から駄目かと思ったが、何とか一番のバスに乗り込んだ。40分ほどでしらび平に到着し、これも始発のロープウェイに乗り、7時に千畳敷に到着した。途中、ロープウェイから下を見ると、サラシナショウマが目立った。大柄な花だけと、高くから見ていると小さく見て、最初はイブキトラノオと見間違った。
  花が綺麗なので、過去に2回ほど訪れているが、今回は夏の花も終盤で、あまり期待感がない。しかし、ガスが出なければ、景色は超一級品である。フィルムは6本あるから、今日は贅沢に使うつもりだ。下界の残暑が嘘のようで、実にさわやかだ。当然か!


ウサギギク

 一気に高度が上がったので、歩き始めると少し頭が痛い。それに、白山から1ヶ月のブランクがあり、少し体がなまっている。足腰のセンサーを常に確かめながら、ペースを作っていく。それよりも、花が気になって、ペース配分どころではない。この時期の千畳敷は黄色の花が主体だ。キオンの混ざって、ウサギギクがかわいい。葉がウサギの耳に似ているのでこの名を頂いたそうだが、花は全体的にふっくらとしていて、優しい感じがする。今年は白山でチブリ尾根でも出会ったが、時期が早く一輪だけだった。ここでは、今が盛りだ。

 


ウサギギク


 千畳敷を埋めていたコバイケイソウも花が終わり、大型の花は少ない。足下には、トウヤクリンドウ、コマウスユキソウが目立つ。トウヤクリンドウを撮影していたら、花の名前を聞かれた。教えるとなぜこの名がついたという質問が帰ってきた。勉強不足で分からないが、「薬になるので」と答えておいた。(いい加減な返事でごめんなさい)しかし、当たっていた。当薬だ。リンドウはもともと、薬草の代表格だ。皆さんご存じのセンブリ(別名トウヤク)は胃腸薬として使われる。強烈に苦い薬だ。千回煎じても苦みが出るので、センブリだそうだ。講釈が長くなったが、葉の形がトウヤク(センブリ)に似ているので、トウヤクの形容詞がついて、トウヤクリンドウだそうだ。こんな事を書いていると行程が先に進まない。花にあまり関心のない方はつまらないかもしれませんね。

 


トウヤクリンドウ



 行程に話を戻そう。千畳敷はすりすり鉢状だから、乗越浄土が近づくにつれて傾斜もきつくなってきた。朝も早かった(山の朝は早くて当然)ので、体がまだ目覚めていない。乗越浄土に到着した頃に、少し体も温まり調子が出てきた。しかし、ガスで全く眺望はなし。宝剣山荘を過ぎてしばらく進と、中岳に到着した。少しガスがはれて、下に中岳キャンプ場が見える。中岳を下り、駒ヶ岳に向かう。斜面はトウヤクリンドウとコマウスユキソウで埋め尽くされている。ガスの晴れ間を狙って撮影にかかる。すかっとガスがとれて青空の背景があれば最高なのだが、短い時間ではチャンスがこなかった。


コマウスユキソウ


 駒ヶ岳山頂に立つ。歩き始めて約2時間で000メートル級の山にいられるなんて、世の中便利になったものだ。スペースがあり、ゆっくりとパノラマを楽しみたいところだが、ガスで視界がない。ガスの切れ間に前岳が見えるが、それ以上の眺望はない。こんな時は景色よりも花に時間を使いなさいということか。空腹は感じないが、パンをほおばり、馬の背を分岐まで歩く、なだらかで歩きやすく花も多い。花は終わっているが群生するチングルマの紅紫色の羽状の毛が綺麗だ。登山道にちらばる花崗岩と組み合わせて撮影してみた。ガスがもう少し取れてくれると、贅沢に背景を選べるところだが、近くのもので構図を考える。
 分岐あたりが花が多そうだ 。先ほどのトウヤクリンドウやコマウスユキソウが咲き誇っている。そして咲き終わったチングルマの羽状の毛が風に揺れていた。6月から時期を換えて何度でも来てみたいところだ。花のないところはハイマツが場所をとっている。分岐から中岳キャンプまでは緩やかな道で、ゆっくりと時間をとって花を楽しみたい。


 駒ヶ岳を後に、乗越浄土にもどると、ガスの切れ間から宝剣岳が現れた。花崗岩の山らしく荒々しい。鈴鹿で言えば、御在所、鎌ケ岳、国見岳といったところか。まだ11時だが、朝は早くから行動しているのでおなかがすいた。30分の昼食休憩を入れる。
 宝剣岳の山頂は、山荘の裏からだと、鈴鹿の岳峠から鎌ケ岳山頂ほどの距離である。最後のクサリ場は慎重に登る。登りは下が見えず、手足を効率的に使えるので比較的楽の登れるが、下りはそうはいかない。宝剣岳の山頂は人ひとりが立てるほどだ。もちろん展望は約束されている。直下には千畳敷が見え、高度感も抜群である。高いところは苦にならないが、高いところが苦手な人は足がすくんでしまうような所である。ガスの切れ間から、千畳敷や山々の景観を楽しみ、20分ほとで山頂を後にした。山頂から極楽平までの稜線はクサリ場の連続で、気が抜けない。しかし眺めはどこも絶品である。イワベンケイも花が終わり赤っぽくなっている。コマウスユキソウが花盛りだ、何度も立ち止まりファインダーを覗き込んで構図を見る。花は他に、チシマギキョウが岩にへばりついて生えていた。この花も終盤にさしかかっている。フィルムに収めるには少し時期が遅いか。
 スリリングなコースも極楽平で終わりになる。時計を見ると13時である。このあたりは風衝地と言われているようで、ハイマツも育たないほどとか。しかし、コマウスユキソウは群生している。実にたくましい。雑草のハハコグサやチチコグサの仲間だと思うと、たいしたことはないが、高山の特産種となると、これを見る人の態度も変わり、急に大切にされるからおもしろい。エーデルワイスの近縁と聞くと、もっと大事にされる。ハハコグサとコマウスユキソウとどちらが綺麗と聞かれたら、あなたはどう答えますか。話が大幅にそれてしまったので、元に戻します。
  このあたりをもうす少し散策したかったが、帰りのロープウェイの待ち時間が気になって、そのまま千畳敷に向かう。元気のいいウサギギクがあちらこちらで咲いている。かわいくてきれいだ。今日の花はというと、知名度や数からいくと、トウヤクリンドウやコマウスユキソウだが、私はあえてウサギギクにトップ賞をあげたいな。

<< つづく >> 写真は現像できてから貼ります。

この時期の花を中心に報告を書いているで、時期をはずすとあまり参考になりません。詳しくは、「花の山旅8 中央アルプス」津野祐次著(山と渓谷社)をご覧下さい。同じコースが紹介されています。

★報告はしばらくお待ち下さい。